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□あなたが
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「…弦一郎」
「なんだ?」
「…やはりいい。」
今日もまた言えなかった。
いつも一人心の中で葛藤して意を決して言おうとするけれど、
「なんだ?」
その時の君があまりにも綺麗だから、傷付けたくなくて。
ただ臆病なだけなのかもしれない、俺は。
今日もまた一人考え、今度こそ決意する。
「弦一郎あのな…」
「うむ?」
「…やはりいい。」
「…そうか。」
また言えない。
自分が情けなくてしょうがない。
「蓮二、今日はお前に伝えたいことがある」
「なんだ?部活のことか?」
「実は…」
その後の言葉を聞いて俺は今夢の中にいるのではないかと思った。
でも目にうつるのははっきりした愛しき彼。
「嗚呼、俺もだ。」
→あとがき