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□嘘
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「なあ弦一郎」
「なんだ?」
「お前俺のこと好きだろう?」
「な…」
以前からわかってた。
弦一郎が俺を好きというのは。
でも俺はわざと知らないふりをして、弦一郎の視線に浸ってた。
でもそれだけでは物足りなくなって。
お前のそういう困った顔も、俺を見つめるその漆黒の瞳も、俺の名を呼ぶその唇も、声も、全部俺だけのものにしたくて。
「付き合ってもいいぞ」
って。
決して好きだなんていわない。
俺もお前が好きだなんて知ったら、きっと弦一郎は他の奴にも目を向けてしまうから。
だから俺に必死で恋して。
→あとがき