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□雪の君
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なあ弦一郎
俺はあの時間違ってなんかいなかったよな?















いつもと変わらなかった帰り道。
でも雪がふっていた



「今日は寒いな。昨日まで暖かかったのに…まったく、この頃の天気は予想がつかない」


「蓮二なのにか?」


そういって彼は笑った。ドキリ。


「俺だって神じゃないんだ。天気がズバズバ当たってたら今ごろここにはいないさ。」


本当に寒い。
手袋をもっていないから手がかじかむ。


「蓮二、寒くはないか?」


「いや…大丈夫だ」


痩せ我慢。
こんなことで弱音を吐いていたら彼に一喝されるのがおちだ。と思った


「…」


「弦一郎?あっ…」


彼は俺の手を握った。
強く、強く。


「無理をするな。これで少しは温かいだろ?」


またドキリ。
突然すぎて何も考えられなかった。
彼の体温がやけに伝わって、ドキリドキリ。


「…ありがとう」

 
それ以上なにも言えなかった。

















この手に今も残ってるあの時の想い。
俺は忘れられない。
あの時本当は気持ちを伝えたかった。
でも言えなかった。
ただ隣にいるだけで幸せだったから。
あの時何かしていたら変わっていたのかもしれない。
でもそれでよかったんだ。
だって今も俺の中に残ってるお前は綺麗なままだから。
ただ言い聞かせて。
そうしないとつぶれそうだから。















ねえ、弦一郎














今も好きだよ










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