Poetry

□君の言葉で、もう一度歩き出そう
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殺せば終わると思っていた。


その為にわざわざ母国から日本の警察庁へと入庁した。


両親を殺し、14で僕を孤児にしたアイツラをこの手で殺す為に。



そして、僕は形だけの警官になった。



ついにアイツラを追い詰めた時。

僕はなんのためらいも無く、引き金を引いた。



一発



二発




一人に当たった。見事なほどに。

血が噴出すのを見た。それは鮮やかな










こんなにも呆気なく、簡単に人の命を奪う事が出来るんだと、改めて思った。


そう思ったら急に怖くなった。



でも、もう後戻りなんて出来やしない。


続けて三発目を撃とうとした。



けど手が震えて撃てなかった。
この状況で、それは“死”を意味していた。







銃声が鳴り響いた。





死んだと思った。



でも、気付いたらアイツラは全員捕縛されていて、僕も生きていた。




いつの間にか座り込んでいた僕の前に、君が歩いてきたね。


そして、言ってくれたよね。





『殺して、それで後腐れなく全てが終わるのなら、これほど簡単な事無いよ?改心する気の無い悪人には人権もプライバシーも無いとは思うけど、人の命は平等だよ。だから、殺しちゃ駄目。言わなくても分かったよね。今、貴方の全身に圧し掛かって来るその重さが、その証。』











『私達は警察官。少しでも罪の無い人達が、貴方のような被害者が少しでもいなくなって、幸せに過ごせるようにするのが私達の仕事。皆同じようなものだから。皆何かしら抱えたり、背負ったりして生きてる。貴方は一人じゃないんだよ?周りをよく見て?助けを求めればいくらでも手を貸すよ?それが、私達。だから、行こ?』





頷くというよりは、うな垂れた僕に、君は、その小さな手を差し伸べてくれた。




すごく嬉しかったよ。



まだ幼い君にでも分かっていた事を、君よりも長く生きてる僕は気付けなかった。




ただ、復讐という思いに駆られて。



でも、やっと気付いたよ。まだ、終わりじゃない。



やり直せること。



償える事。




君達となら、もう一度歩き出せるよね。




きっと、今度は真直ぐ生きていけるよね?




今からなら、本当の意味での警察官になれるよね。


















あ、国籍日本に移しとこ。
君の家に居候。

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