タイバニ×零崎主





「おまっ、待てって言ってんだろ!」

『にゃはっ。待てと言われて待つ馬鹿はいないよー!』



静まり返る町の中を、俗にワイルドタイガーと呼ばれるヒーローと追いかけっこをしている。
だが彼はいつものヒーロースーツを着ておらず、私服である。



『ねー、パワー使わなくていいのー?僕強いよー?自称世界最強だよー?』

「へっ、んなもん使わなくたって捕まえてやらァ…っ!」

『どーだか』



ぴょんぴょんと軽く屋根伝いを走る。
僕は普通に走っても……えーっと、"100倍パワー"?とやらに負ける気はしない。

どちらかと言えば本気を出せば今すぐ撒けるし。



『虎徹さーん、まだ諦めないのー?僕に一目惚れとか奥さんどーなるのー?』

「っはあ、大丈夫だ!アイツだってお前なら許してくれらあっ!はあ、はあっ」



実はこの掛け合い、冗談でなかったりする。
こうなる迄にまた何時ものように遡るのは飽きたので走りながら説明しよう。管理人が。


(ハァイ、弄るより弄られやすいSの方、管理人だよー!
またまた碧織は間違えてこの世界の扉を開いてしまったのだー。
しかもよりによって落ちたのはワイルドタイガーの自宅。
玄関から慌てて出ようとしたところをタイガーに見つかり、一目惚れしたとかでおいかけられているのであーる、まるっ。)


と、まあだいたいそんな感じ。



『"フリーアクション"!』



壁をかけ上がりKH3Dの技、"フリーアクション"でビルの屋上へとジャンプして一番高いビルの屋上まで上がってきた。

見えなくなったタイガーをどうしようか、と保存匣に入れてあった天然水とサイコソーダを出してサイコソーダを飲む。



「っ、は…ぁ…はあ……」

『…結局パワー使ったんだ?』



案外来るのが早かったな、と頭の片隅で考えて、『はい』とエリクサー込みの天然水を投げる(水にエリクサーを混ぜてNEXTパワーを回復できないか実験しているなんてことはないから、うん、ないない(笑))。
タイガーは「おー、サンキュー!」だなんて可愛いこと言ってエリクサー込みの天然水をがぶ飲みだ。



「っかー!お前速ェーな!しかもnextだったのか?おじさんびっくり」

『……おじさんが僕についてこれたことにびっくり』

「へへっ、コレでもまだまだ現役だからな!夜の方だってまだやんちゃざk─へぶっ!」

『ちょっとちょっと!これ裏夢じゃないんだから、拍手なんだからそっち系を出さないでよ!』



慌てて走りよりタオルを顔に押し付ける。
今のワードなら大丈夫だけどもっと酷いのなんて出されちゃ困る、碧織と管理人であった。



「いいだろ別に?見たとこお前20越えてそうだし」



タオルを退けつつタイガーは好機とばかりに碧織の腰を抱く。



『そーゆー問題じゃないの。確かに20は越えてるけどね(精神年齢は20どころじゃないけどね)』



ぐいっと離れようと押せば近付けようとするタイガーの手。



「おっ、おじさんの目に狂いはなかったか」



ぐいぐい押し合いが続くなか、タイガーの腕に巻かれた機械から電子音が響く。



「ボンジュール、ヒーロー!事件よ!…あら、お楽しみ中にごめんなさいタイガー」

「バッ、今言うことじゃねェーだろアニエス!!」

『ほら、早く行ったらどうですかタイガー』



かなり渋々とだが、解放された僕はこの世界を飛び回るため、かるーく準備体操をする。



「くっそお、次会った時は逃がさねぇからな!」



電話をしながらドタタタと屋上から出ていったタイガーに続いて僕は"絶"をしながら"フリーアクション"で騒がしい事件見学に向かった。








───────




「おーい、誰かいねーのかー」



ヒーロースーツに着替えたワイルドタイガーは、連絡のあった火事現場にいた。

火事現場の場合、重宝されるのは我らがアイドルヒーロー、ブルーローズ!…なのだが、生憎現場からはブルーローズが一番遠い位置におり、人命救助のために付近にいたタイガーが一番に呼ばれたのだ。



「っ、げほっ、だ、れか…ぁ…」

「!誰かいるのか!!何処にいるんだ?!」

「げほげほ…っ!たす、け…」



タイガーはキョロキョロと辺りを見渡し、声の主を探す。
声の主は倒れた食器棚の下敷きになっているのか、腕がちらりと見える。



「今助けてやるから!もうちょい頑張れよ!!」



ガシャガシャと行く手を阻む瓦礫をあちらこちらへ押し退け、漸く食器棚にたどり着く。
食器棚をゆっくり起こして退かすと、1人の男性が倒れていた。



「ワイ、ルド…?」

「そうだ。もう大丈夫だからな、安心しろ」



よっと背中に負ぶさると急いでその場から飛び降り、怪我人を救急車に任せた。

消防隊がビルへ放水を続けているが、収まる様子のない火が容赦なく風に揺られ隣のビルへと飛び移った。



『見てらんないね』



ブルーローズを未だか未だかと待っている人達には申し訳ないが…対処する術を持つ碧織は我慢の限界だった。



『こんな時役立つのは、……"ウンディーネ"!雨を降らして火事を抑えて!』



火事が起きたビルの、向かいのビルの屋上にいる碧織が一枚のカードを宙に放ると、ぽつぽつと雨が降り始め、だんだん雨が強くなっていく。



「雨だ!恵みの雨だああっ!!」

「………あいつァ…」



『うん、フリーミッション完了ってとこかな』



僕を見つめる人間に手を降って、その場から離れた。







(タイバニ連載したいけど、また続かないよなあ…)


君のやる気を僕にくれる?



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