銀魂 短編
□たかが恋、されど恋
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「好きです!
付き合ってください!!」
『ごめんなさい、私そういうのよくわからない』
そう私は返すのは、今月に入って通算5回目。
この高校に入ってとんでもなくモテ期が来たわけだが、生憎私は恋というものを知らない。
こんなもんかって気持ちで彼らの気持ちに応えるのは失礼な気がするし、だからって好きな人がいますと嘘を吐くのもなんだか嫌な感じがしたので正直に言っている。
そのせいかなのかはわからないけれど、性格に難があると思われているらしくクラスでは若干浮いている。
恋なんて邪魔なだけだ。
良好な人間関係すら築けないのだから。
5人目の犠牲者(私が振った男の子達を噂好きのクラスメイトはそう呼ぶ)を見送った後、私は一人こっそり溜息を吐いて側にある木を見上げた。
春はソメイヨシノが満開になってとても綺麗だ。
今は初夏ということもあって花は咲いていなく、緑の葉が生い茂っていたけれど。
そこにピンクの大きな花を見つけた。
『聞いてたでしょ、神威くん』
隣のクラスの超不良、神威が寝そべっておかしそうに笑っていた。
うちの学校でこの人を知らない人はいない。
先生達は彼の傍若無人っぷりに頭を悩ませていたし、女子はそのルックスに見初め、男子は先輩後輩問わず憧れるカリスマ的人物だ。
そんな彼は、私の告白を毎回どこかしらで聞いているのだ。
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