event
□坂田銀時
1ページ/2ページ
「花より!」
「団子アル!」
桜が桃色
「銀時! みたらし団子!」
「桜餅アル!」
私達は今、花見に来ている。
万事屋でテレビを視ているとニュースでお花見中継がやっていて、それを見た私と神楽ちゃんが行きたいと言ったら、暇だし行こうかということになった。
因みにと言うと、銀時は来てからずっと酒を飲んでる。
ふん、この酔っ払いが。
「もうすぐ新八が戻って来る。それにおめーら、花見団子といえば三色団子だろ」
五月蝿いなぁ、この飲んだくれ。
一人、酒を煽る銀時にちょっとムカついてきた。
私はなんとなく桜を見上げる。
あ、そうだ。
暇な私は、ちょっとした意地悪を思い付いた。
「銀時、銀時」
「なんだよ」
「桜の花って、何でピンク色か知ってる?」
「もとからそうだろ」
「違うよ、昔は白色だったの」
「じゃあ、なんでだよ」
「桜の樹の下には死体が埋まってるんだ」
「………なっ」
「で、桜はその死体の血を吸ってピンク色になるの」
「……冗談だろ」
「なんなら、掘ってみようか?樹の下」
「ななな何言ってんだ」
明らかに動揺し始める銀時。
私はそんな銀時を見るのが楽しくなって来て、更に嘘を続けるため、敷いてあるレジャーシートから立ち上がる。
「や、止めとけ! あ、言っとくけど俺が怖い訳じゃねーぞ! おめーが怖がると思って…!」
「大丈夫。私、怖くないから」
「いや、でもな、ほら! 折角その死体も桜の樹の下で安眠してるって言うのに、掘り返したら可哀想だろ!」
「ずっと、栄養吸いとられるよりはいいと思うよ」
「でもな! し、死体除けたら桜がピンク色じゃ…!」
「ブフッ!」
堪えきれず、不覚にも吹き出してしまった。
勿論、銀時は不思議そうな顔をしている。
「ハハッ! 嘘だよ、銀時慌てすぎ」
「………おめーなァ」
「ほら。掘っても何も出てこない…」
そう言いながら、私は近くの桜の樹の下を掘り返した。
すると、手に当たる硬いもの。
更に掘り進めた私は、絶句した。
「………銀時」
「なんだよ」
「ごめん、嘘じゃなかった」
「は?」
私は桜の樹の下で、銀時を手招きする。
それに応じて銀時は、気だるそうに私に寄って来た。
「なんだ…よ…」
銀時も同じく私の手元を見て、絶句する。
その日、桜の花が満開の公園に大きな叫び声が響き渡った。
後書き→1/2