*小説*
□○欠片●第二章
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『勝負は明日からだよっ』
家に帰ってからもずっとその言葉がこだましている。微かに頭痛がするのは気のせいか…?
自分の部屋に入れば鞄を適当に投げ、ベッドに寝転がる。
今日は散々だった...まさかの転入生にここまで俺の日常を掻き回されるなんて…思う訳ねぇもんな(笑)
ちょっと疲れた…
俺はそのまま色々考えながら意識を手放した。
――――――――――――
…ぁれ、俺が居る。
ぁあ、俺が中学生の時だ。懐かしいなー幼いなー(笑)
ぇ、てか、コレ何?
もしかして夢?
しかも……二度と思い出したくないという過去の夢。
幼い俺が虚ろな目で見つめる先には、黒渕の写真立てが二つと、その周りに綺麗な花が沢山あった。
ー所謂、葬式ってやつ?
しかも、俺の、、両親の。
周りの親戚の奴等は、両親の死を他所に俺を誰が引き取るかという話ばかりをしていた。…そんなに嫌ならハッキリ言えってな
『ねぇ、悠君。悠君は、誰の家に行きたいの?』
俺は黙ってその叔母さんを見上げる。
その時、初めて俺は作り笑いというものをその醜い叔母さんから教わったんだ。
俺は何か言おうと口を開いた―――――――――
「ーぃ、ォイッ!!」
「…ンだよ、ウッセーなぁ...」
突然聞こえた声に、一生懸命目を開けようとするが開かない(笑)
手の甲で目をゴシゴシ擦ってからうっすらと目を開けた。
目の前には、つり目でロングの茶髪に、ピアスを至るところにつけた俺より大人びている顔があった。
「…蒼(ソウ)……」
雨宮蒼(アマミヤ ソウ)22歳。
俺の親父の部下だったらしい..何の部下だったかは教えてもらえねぇけど
「テメェ..気色悪い顔近付けんな…」
「相変わらず可愛くねぇなぁ..まぁ、いいけどな。飯、できてるけど」
まるで主婦のように片手におたまを持って、エプロン姿…
最高のシチュだなォイ。。。
「飯……?食べる」
寝ぼけ眼で上半身を起こす。
ボーッとして真正面を見つめていれば、また顔を覗き込んできた。
「大丈夫かー?何か疲れ溜まってね?」
「…だから、顔近づけんなって」
蒼の腹に軽く一発。…軽く咳き込んでるし(笑)
それに気を良くした俺は、蒼の作ったご飯を沢山食べた。