忘れられし詩
□愛と哀しみと淋しさと
秘めしものは己の心
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力ありて 我を縛るもの
お前がはじめて俺の名を呼んだ
偽りの名ではなく
俺のほんとうの名前を
出会いは
ほんとうに些細なものだった
最初はお互い偽りの姿をしていたな
お前も俺も
偽りの名を使っていたんだ
俺たちは
幾度となく夜を明した
お互いの姿を偽ったまま
そして何時しか俺は
思うようになっていた
お前にほんとうの名を呼んで欲しいと
同時にそれは
お前と会えなくなると言う事もちゃんと理解していたんだ
俺の名の秘密もちゃんと
でも
俺は己の欲望を押さえられなかった
だから俺はお前に言った
ほんとうの名を
そして 呼んでくれと
お前はそれにこたえてくれた
そっと
俺の耳元で囁くように
『 』
そして
俺は光に包まれた
お前の驚く顔が
泣き顔が俺の心を掴んではなさい
でも
俺はいまここにいる
おまえの訪れる事など叶わぬ檻の中
おまえに会える事はもう二度とないだろう
そう思う俺に声がかけられた
『 』
遥か昔に一度だけ呼ばれたあの声で
俺は信じられぬ思いで目を開けた
そこにお前の顔があることを望んで
いま
俺の長い眠りが醒めようとしていた