鬼と仏の福笑い

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仏「ほおぉずきぃぃぃぃいいいいいい!!!!!・・・・い?」

仏気は鬼灯が飛び降りた窓から飛び出すように下を見ると、そこには体操部の柔らかなマットが置いてあった。
鬼灯はうまく着地して仏気のほうをちらりと見るとまたにやりとあのイラつく笑みを浮かべて走って行った。
何とも運のいい奴だと仏気は後を追おうと自分の足を窓にかけたが
そこにいた柴田に止められた。

仏「追いかけないとダメなんです、はなしてください。」
柴「いや、駄目だ・・普通でもこの高さから飛び降りたらあのマットでもけがをする・・・。」
仏「でも、鬼灯が行けたんです、俺も行きます」
柴「やめとけ、大丈夫そんなに急がなくてもあいつはたぶんどこか痛めているだろう。
となれば行くところは決まっている」

柴田はフフンと笑って歩き出した。
長く鬼灯を追いかけている柴田なので鬼灯の行動パターンは見えていたようだ。
仏気はうーん、と考えていたが、東はぴんっと思いついた。


東「保健室ですね?」
柴「そうだ!」

そうと決まればと三人は保健室へと向かった。
保健室の所まで来ると、鬼灯の声がきこえた。

鬼『痛いって。もっちょい、優しくしてや、やまもっちゃん』
山『当たり前でしょ。三階から飛び降りて!!!
捻挫だけで済んだだけでよかったものの!
もし着地が悪かったらどうだったと思ってるの!』
鬼『はいはい、わかりました!すみませんでした!』
山『また、そうやって!』

中に鬼灯がいると確信した柴田がドアに手をかけたその時、仏気がそれを止めた。
柴田は驚いたが素直に静止した。
そして中から聞こえる会話を聞いていた。



山『もう、久しぶりに来たと思ったら…もう、健太郎さんになんて説明すれば・・』
鬼『えぇやん、いわんで。その方がめんどくさないし』
山『だーめ、で、今回は何してきたの?』
鬼『何って?クソ犬が追っかけてくるからやんか。あいつほんまストーカー並にキモくてうざくてしつこいねん』

柴「くそ、いわせておけば」
仏「お、落ち着いて・・」
東「そうです、静かにしてください」


部屋の外で仏気は必死に柴田を押さえた。
ここの保健室の先生である山本に素直に話しているのだ
何か自分の知らないことを話すかもしれないと思ってそのまま聞いていた。


山『柴田先生もあなたの才能を見込んでよ・・・・。
確かにあの時、柴田先生は失言してしまったかもしれないけれど
すごく後悔していらっしゃるのよ』
鬼『わかっとるよ。それはもう許しとる。
うちが嫌って言っとるんはそういう言うことじゃないねん。』
山『ん?』
鬼『うちがおったら、あかんねん。』
山『どうして?』
鬼『こんな髪色でしかも口調がこんなきっついやつやったら不良部みたいやんか
そんで、うちがピンチヒッターでおったときやって、他校の奴らにひどいこと言われとったん知ってるから
あんなえぇ奴らはおらへんし、うちのせいで中傷受けるんやったら
もう、いっそうちから離れてしまえばえぇって思ったんや。』

東「!…そんな、…やっぱり桃ちゃんは・・。」

東はそれを聞いて静かに涙を流した。
柴田も知らない話だった。

山『桃ちゃん・・。』
鬼『この前、仲ようなったやつもな、めっちゃえぇやつやねん。ええやつすぎるねん
担任のクソババアからはクラスのガンっていわれてるうちやで?
一緒におったら、あいつの評価まで下げてしまう・・
それやったら・・もう・・』


仏「迷惑なわけないやろ!!!!!」
鬼「っ!!!!?」


仏気はダンッと勢いよくドアを開けた。
すると鬼灯はびくりと肩をあげて驚いた。
そして反射的に逃げようとまた窓に足をかけようとするが素早く仏気に抱きしめられそれもかなわなかった。

鬼「っなんやねん!はなせや!」
仏「いやや!」
鬼「やめろ言うてるやろ!キモいねん!」
仏「鬼灯が逃げないんやったら離さん!」
鬼「っぅ〜〜〜。わかった、わかりましたから、離せ!うっとうしい」
仏「鬼灯・・」
鬼「な、なんやねん泣くなや!きもい」
仏「おれ、俺は!!!鬼灯と一緒やないとアカンねん」
鬼「わ、わかったから!」


仏気は号泣しながら、その大きな体で小さな鬼灯を抱きしめた。









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