鬼と仏の福笑い

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東「そう、今月の桃ちゃんのラッキーカラーはピンク。」


屋上で待ってましたとばかりに東がファッション雑誌の占いのページを見せてくる。
鬼灯はなれたのでそれを無視してやきそばぱんを食べ続けている
しかし東の口は止まらない。

東「っでね、今月桃ちゃんは占いが最下位なのよ。気を付けようね。」
鬼「へー、へー。」
仏「見せて見せて。」
東「あ、・・うん。いいよっ。いや、どうぞ」
仏「?」

東は少し顔を赤くしながらその雑誌を渡した。
仏気は不思議に思ったがありがたくそれを受け取った。


仏「ん〜。なになに。うわ、『今月はあなたの身近な人に裏切られるかもしれない、しかしそこで裏切りを許せば大事な人にも被害が行くだろう。
怒るときはしっかりおこる。そうすれば裏切ったやつとの関係も修復でき吉。』やってさ。」
鬼「あほくさ。」
仏「まあ、ききました東さん。
んも〜まったく、最近の若い人ったらん。」
鬼「オカマ口調やめい!」
仏「いてっ。」
東「ふふ、」


鬼灯はその雑誌を奪い取りそれで仏気の頭をはたいた。
しかし相変わらず仏気はへらへらと笑っていた。
その時、屋上のドアが音を立てて開いた。

『桃さん!ちょっといいっすか!』

そこには息を切らしてやってきた、
これまた派手な金髪リーゼントが現れた。


鬼「あ?なんや、安田。ってかどうしたその傷。」
安「そ、それが、いつものたまり場で昼飯食ってたら、いきなり1年のやつらがきて…
メンチきって追い返そうとしたらいきなり殴ってきたんっす。」
鬼「ッ・・!誰や。」
安「わかりません。ただ、桃さんと同じ、・・いや、それよりも明るい茶髪のやつでした。
俺はそのとき元木(もとき)とふたりだったのに立ったその一人にやられたんッス。」
鬼「チッ。仏気、悪い。…ちょっと探してくる。
っで、元木は大丈夫なんか」
安「保健室で今面倒見てもらってます。」
鬼「そうか、今行くからついてこい。」
安「はいっ。」


鬼灯は本当に鬼の形相をしていた。
それは、仏気に合う以前の鬼灯のオーラだった。
ただただ恐怖だけを感じた。

東「あ、仏気君!」
仏「俺も。いってくる」
東「いかない方がいい!だめよ!今、桃ちゃんに近づいたら駄目!」
仏「俺は、鬼灯の相方や!」

だから何かしでかすかもしれないから心配だ。と言って仏気は鬼灯の後を追った。
東だけが、そこに取り残されてしまった。



東「そうだよね…。桃ちゃんのことだいじだよね」

東は少し悲しそうに仏気のいった後のドアを見つめていた。
正直に言うと東はどこかで仏気のこと好きだったのだ。
だけど、好きだからこそ分かる
仏気の視線はいつも、鬼灯のほうへと向いていた。
それは、たぶん、仏気が鬼灯のことが好きだから。
わかってはいるけれど・・



東「…いいな、桃ちゃん。」
大「なら、あんたの願いかなえてあげようか?」
東「え?」

東は我に返ると、ドアには自分の知らない人物がたっていた。

大「あんた、あのでかいのが好きなんだろ?」
東「え?どどどど、どうして」
大「そう、だから、鬼灯桃のことが邪魔で仕方がない。」
東「そんなことっ。」
大「まあ、きいてくれよ、俺もな、桃さんの隣にいつもいるあいつが気に入らない。
あいつがいるから桃さんはあんなに変わってしまった。
あんなの桃さんじゃない、桃さんはもっと、もっと恐れられる存在なのに、
もっと強い人なのに・・・・」
東「あなた、まさか、」
大「いい話だと思わないか?
俺は、もとの桃さんを取り戻すためにあいつを桃さんから遠ざける。
あんたは、あの男を手に入れる。
いいじゃないか、」
東「それは、・・」
大「あんたも頭は悪くないはずだ。」



この取引を素直に受けてくれ
そういって大倉は東に手を差し伸べた。
それは悪魔の誘いだった。


東「(この手を取れば・・・仏気君は私を見てくれる?
桃ちゃんよりも、私を見てくれる?)」





東はゆっくりとその手を取った。








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