五十の音

□嫉妬なんてね
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【嫉妬なんてね】



美空がほかの人と話している
そう、あの独露さんと
そう…独露さんと…


あ、笑った。
あんなに、可愛く笑っている

ずるい
俺にも、あの笑顔がほしい
どうしたら、そんな笑顔をくれる?
どうしたら、俺だけを見てくれる?


美空が好きだ、
ほかの誰かとはなしているだけでふつふつとわきあがるこの醜い心。
あぁ、嫉妬か・・・
懐かしい、この感情、
何度も何度も思った。


こっちを向いてよ、美空。


あの人に似ている、独露さんなんかみないで
こっちを向いて?



「達也?」



やっとこっちをみた、
かわいい、かわいいな
でも、どうしてそんなに悲しそうな眼をするの?
俺には、素直に笑ってくれないの?


達「みそら…」


俺は、怖い
これ以上、美空が俺のこと見てくれないのなら
美空を束縛してしまいそうで
壊してしまいそうで

こわいこわいこわい



「あほ!」
達「?」
「眉にしわよりすぎや!」

そういって美空が俺の額をぺしっとたたく
あっけにとられた俺はたたかれた底をさすりながら美空を見ると
驚いた、さっきよりも、美空が笑っていた。


達「かわ・・いい」




なんだ、俺にも笑ってくれてるじゃないか。




=プロポーズ前の達也。



美空が好きすぎて、
ちょっと病的な。愛をもっている達也。
こんな達也はこわい。



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