五十の音

□世界から消えてしまうなら
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【世界から消えてしまうなら】


怖い怖い夢を見た
相方が、
達也が
どこかに行ってしまう夢
敵になってしまう夢

「行かんといてっ」

その夢の中で
最後まで叫んでいた
でもあいつは振り返ることもなく
走り去ってしまう

そんな夢を見たのはたぶん
あの人を失ったからなんだと思う


早朝のグランド
あいつの姿を見て思わず抱きついてしまった


達「どうした。」
「なんもない・・」

そう言って身体を放す
ほんとは放したくない
あんな夢見たから?
そのままどこかにいってしまいそうだから?

「行かんといてっ」

どこへも行かないで
私のそばにいて

達「どこにもいかんよ」

達也が優しく頭を撫でた

「・・・ぅ」
達「俺は美空から離れない」
「た・・・つや」

涙が流れそうになった
いつからこんなに弱くなったっけ
私は甘えてばっかやね

達「美空のことが大好きやから」
「・・」
達「どこにも行かない。
美空が俺の世界やもん」

ギューと達也が抱きしめてくれる
いつもなら払いのけるのに
今日はその手を払いのけれなかった


怖い怖い夢を見た
あいつがいなくなる夢を
優しいあいつが言っていた
そばにいてあげると


いやな予感がした
頭の中では警報が鳴り響いているのに
わたしは動きを止めなかった







=不安定な気持ちに・・・








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