五十の音

□高嶺の花
1ページ/1ページ



【高嶺の花】



たとえばそう、すっごくほしいものが目の前にあって
子供の俺は、どうにかしてそれを手に入れたかったから
駄々をこねた
そう思いっきり
親もあきれていたが、俺はただただ駄々をこね泣きじゃくる
そんな俺の腕を親父が握って無理やり連れて帰らされる


でも、本当にほしいものは、
俺はぜったいに駄々をこねるだけじゃすまさない

だってそうだろ?


達「美空がほしい」
「ふざけんな」


美空が好き、すきすきすき
だから俺は諦めない。
誰がどう言おうがこれだけは譲らない

手に届かないってわかってる
俺の手に入れられるような小さなものじゃないって知っている
だからこそ、俺はずっとその高嶺の花を追って
ここまで来たんだ。


「明日は雨か〜」
達「二人でラブラブする?」
「は?お前は脳まで腐ったか」
達「ひどっ!」


ずっと一緒にいるだけじゃあだめ
どんなに高いところに咲いていたって
俺の手に届かないところにいたって
俺は絶対に、絶対にあきらめない

君がそこで待っているって知ってるから



いつか、美空が認めるような男になって
美空を手に入れるんだ



=達也が大人になる決意をした日。






[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ