五十の音

□血が騒いでいる
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高校時代

【血が騒いでいる】

ざわざわと、膨れ上がるこの気持ち
熱くなる、気持ちが
どうにももう抑えられなくて
私は私でいられなくなる

どこでそのスイッチが入るのかわからない
だけれどこの高揚感は抑えられなくて
私は、今・・私でいられていない

こういう時の私は、小細工なしのストレートのサインしか首を縦に振らない
気持ちが高ぶると冷静な判断ができないのだ


9回裏のマウンド

あと、一人


「(ストレートでしょうぶがしたい)」
達「(・・・・)」


練習試合とはいえ、相手は本気の本気
だって、高校生相手に大学生が負けたくない
ましてや相手は女の子だから

私は一点も相手にくれてやる気はなかった。
なぜって?なぜだろう
それは、私も本気だから


血が騒いでうるさいぐらい鼓動が高鳴る
私は一瞬だけ息をすることを忘れていたのか
苦しくなった
だけれど、それ以上にこの思いを抑えることはできない

ストレート以外のサインに首を横に振っていたら
達也がタイムをとってマウンドに上がってくる。


達「言っとくけど、相手はあの大学野球で日本代表に選ばれてしかも4番やで?
ここは、冷静にフォアボールして次のバッターと対戦したほうが」
「いやや。」


そんな弱音吐きたくない
私は勝負がしたいから
だから、とめないで、今、ものすごく・・



達「ふー、だから!今の美空がストレート投げたら
ほんまにあの人自信なくなるから!」



そう、この高揚感のままストレートを投げると
「なんとなんと新記録〜」なんてことになりかねない
そんなことやってしまわないとわからないからね




「なにガタガタぬかしとんねん、あいつが勝負挑んできたんやろうが。
いっぺんその高い鼻をへし折ったるんが私らがあいつらにしつけることちゃうんけ?」


ほうら、私の口調が変だ
私でもびっくりしてるよ・・・いや本当に
達也は「あ、あねご!」なんて言っていた
いや、今の私に話しかけるとえらいことになりそう

いっそ今ならyakuzaに弟子入りできるかもよ?





=試合中の8回くらいから美空がヤンキー(もしくはyakuzaさん)になります










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