五十の音

□止められない涙と
1ページ/1ページ



【止められない涙と】


「あ」


高校時代
不意に世界がひっくり返ったかのようにむなしくなって

私は真夜中に自転車を走らせて誰もいない公園のブランコに座った。

その途端、私はぼろぼろ涙を流した

止まらない止まらない
だめだ、どうして・・


「意味もなくなくんやろう・・」


ふとしたことだ
時々、時々だけど、ぼろぼろと流れる涙。

止まれ止まれトマレとまれ

別に、悲しいことなんてないのに
どうしてだろう

むなしい気持ちだけで、私は・・泣いている。


「たつや。」



ぽつりとつぶやくと
余計にむなしくなった
胸が締め付けられた


はやくはやく会いに来て
今すぐ私を抱きしめて


達「美空!」


ほら、来てくれた
私の王子様



達「・・・寒かったやろ?ほら、おいで。」



どこにいても見つけてくれる。
こんな日には・・達也がそばにいてくれたんだ。




達「美空。落ち着いて。な?」
「うん。」


すっぽりと収まった達也の胸の中で
さっきまでどうしても止められなかった涙が一気にひいてくる


達「ごめんな、もうちょいはよ・・みつけてあげたらよかった」
「いいねん。・・・でも・・もうちょっとだけ」



もうちょっとだけ、あなたの腕の中にいさせて。





=情緒不安定な美空。











[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ