五十の音

□嘘つきの恋心
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【嘘つきの恋心(達+美)】



達「美空、大好き」

そういわれると困る。
いつもいつもそうだ
突然、やつが口を開くとこぼれるこの言葉。


「嫌い、大嫌い」


嘘、本当は嫌いじゃない。
口から零れ落ちるのは本当に嘘ばっかり。
ひどいこといってるのに
それでも貴方は笑ってる


達「わかってる。でも俺は美空が好きやで」


優しい言葉が
本当に恐ろしいぐらい
心に突き刺さる
罪悪感が心の中に広がる
あぁ、私はどこまで嘘つきなんだろう


「きもいねん」
達「ふは、かもな」


言葉が毒のように
吐き出されていく
ごめん、こんなことが言いたいんじゃない


本当に言いたいことは言えなくて
嘘ばかり、こぼれるこの口をミシンででも縫ってしまえばいいのに
達也の言葉に過剰反応するこの心は
どうやら素直になる気は無いらしい




「阿呆はどうすればなおるもんかね。」
達「さぁ、一生直らないね。
だって、美空が可愛いから悪い。」
「頭いっかいどっかにぶつけて中身変えてこいよ」
達「ひでぇ。でもそんなとこが好き」
「はっ、言ってろばーか」



本当はうれしいよ
私は気づかれないように
今日も駆け足で先を走った
嘘つきな自分に罪悪感を感じながら





=少し前の美空の心境






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