五十の音

□永遠にさようなら
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【永遠にさようなら(喜←美)】


息が止まった体
冷たくなって動かない
あの人は綺麗な箱の中にいれられて
綺麗な化粧をされ
眠っていた
目は開かない
表情もない
なにも・・・動かないのだ。
そう、彼は死んだ、


「喜一・・・さん」


涙はその時流れていたのか分からない
かれたかもしれない
まだ、そこに肉体はあるのに
魂だけが無いなんて不思議

いっそこのまま綺麗に冷凍保存して
何年か経てばまた生き返るかもしれない

そんなばかげた思考がぐるぐる頭の中で巡る。

いろんな人が、泣く。
いろんな人に愛される人だったから
私もこの場で死んでしまいたいぐらい
この人のこと愛していたから


「さようなら」


突然いなくなると
実感がわかない
だけど、コレが最後の別れ
永遠の別れなんだ


「永遠なんて陳腐な言葉、
だけど・・・本当にもう、帰ってくることはないんやね」


隣にいた達也に言った言葉
達也は涙は流していなかったけど
すごく哀しそうな表情をしていたから
私の前では泣かない彼が優しく思えた



「無理せんといてね」
達「美空・・こそ」
「私は大丈夫や・・・」



強がったつもり
せめて泣かないでいようと
無理やり涙をせきとめて
車に乗せられた彼の遺体をただじっと見ていた



「さようなら、さようなら・・・」






私の愛しい人。




Good-bye My Lover Boy




=喜一が亡くなった時の美空



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