beautiful シリーズ

□1st
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その日はたまたま運が悪かったのだ。
いつもは見ない朝のニュースでの占いも最悪だったし、
(とはいえそんなものまったく信じない主義だが)
靴をはいたはきにも紐が切れた。
そう、今日は運が悪かったのだ。


「…独露さんのこと、好きです!」


あぁ、今日は厄日だ


【1st:Beautiful sea】


フラれた。独露は今日、すっぱりとフラれたのだ。

独「(吉長…。あいつはよう・・やるやつじゃの)」

独露が少しばかり(恋愛の意味で)気になっていた彼の最大の好敵手『白金美空』は
すでに達也に取られ、付け入るすきがなかった。
そして、フラれた。
その動揺を隠して独露は美空の背中を後押ししたのだ
まったく、何を女々しくやってるんだと独露は気落ちしていた。
その傷心を普段は飲まない酒の力を借りて、
美空への気持ちごと忘れてしまおうと飲み屋に向かった。


それが、独露にとって運命を揺るがすことになる。



暗い夜道、まるで独露の心を表すかのように雨が降っていた。

「やめてください!!」

女性の大きな声が聞こえた。
独露は何事かとその声のほうへ向かうと、
数人の男が女を取り囲み、嫌がる女性に絡んでいるのを目撃した。
いつもなら、面倒事に首を突っ込まない独露
なのだが、
今日のこの心のもやもやをはらすためなのか
気づけば独露は行動に移していた


「やめてください!はなして!」
『ちょっとくらい、いいじゃねえか』
『遊ぼうぜ、嬢ちゃん』
独「やめんか、いやがっとる」

独露が男たちのうちの一人の手を握りつぶさん限りの力で握りしめる。

『な、なんだよてめえ』
『ほっとけよ、俺らの勝手だろうが!』

もう一人の男が独露に殴り掛かるが独露はそれをかわさずに殴られた。
が、動じず、その男を睨みつけた。
それだけだというのに男たちは蛇に睨まれた蛙のように一瞬固まり
独露に対して消えるように去って行った。


独「なんじゃ、だらしないのう」
「あ、あの、ありがとうございます!!」
独「おう、けがはないか?」
「はい!あ!血が」
独「たいしたことない、なめれば治るけえ」



先ほど殴られた衝撃で、口の中が切れてしまったようだが
独露はさほど気にせず、そのまま帰ろうとした。
が、女が独露の手をつかみ独露を止めた。







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