鬼と仏の福笑い

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【7:女心と秋の空】


年も明けて本格的に二人は漫才の道を歩き始めた。
それは、年末に行われる漫才最高峰のグランプリ、M-1に出場するためだ。


東「桃ちゃん!」
鬼「あ゛?」


何気ない学校の廊下でこの学校の頭である鬼灯に元気な声が聞こえた。
それは、同じ学年でバスケ部のエース『東胡桃』
鬼灯はいかにも不機嫌そうなドスのきいた声で返事をする。


東「桃ちゃん。あのね、私とうとうキャプテンになったんだ!」
鬼「へいへい、それはよかったですね〜。
うちは用事あるねん、かまわんといてくれる」
東「桃ちゃん冷たい・・。」
鬼「は、うちはあんたにもう借りは返したんや。
もううちにかかわらんといて。あと、桃ちゃんいうのやめてくれる?『東さん』」
東「あずっ?!…なんでそんな他人行儀なの!!胡桃ってまたよんでよー!」
鬼「…。」

ギャーギャーとうるさい東のことを無視して
鬼灯は走り去っていった。
東はその後を追うことができなくてその場にただ立ち尽くしていた。

そうすると遠くから鬼灯を呼ぶ声が聞こえた。
その声の主がどんどん大きくなるので、その方向に東は振り向いた。
すると、そこには息を切らした仏気が走っていた。


東「(あれはたしか・・・。)」
仏「ふ・・・どこに、いったんや?」
東「あ、あの・・」
仏「ん?」


ニコリと仏気は東に笑うと、東はどきりと胸を弾ませた。
しかし東はぶんぶんと頭を振って言葉を発した。

東「桃ちゃん・・あ、鬼灯さんならあっちに行きましたよ。」
仏「ほんま!ありがとうな!!」
東「は!はい!」

仏気は東の手を握り礼を言った。
そして一目散に言われた方向に走って行った。


東「な、なんだったのかな。」


ドキドキとなる胸を押さえながら
東は先ほど仏気に握られた手をぐっと握りしめていた。





鬼「ったく!しつこいねん!」
仏「えぇやんかあ。レンコンチップスあげるから、な?な?」
鬼「レンコンチップスはもらうけど、それは嫌や」
仏「もらうんかい!!!っていやいや、漫才するんやったらちゃんと制服着ないとアカンやろ?」
鬼「あほか!うちがなんでそんなことせなあかんねん。」


鬼灯は眉間にしわを作りながら
ものすごい形相で仏気を睨みつけていた。
鬼灯が嫌がる理由は、制服をだらしなく来ているのは確かによくないが
鬼灯はスカートをズボンなしで着るなんてありえなかった。
これでも、百歩譲ってスカートをはいているのだからと鬼灯はものすごく嫌がった。



鬼「とにかく、それは却下や!」
仏「なんでや!スカートぐらいえぇやんけ」
鬼「そんな言うけどな、ほなお前がはいてみろや」
仏「それこそなんでやねん。俺、男やん。」
鬼「いや、お前はおかまや。」
仏「そうそう、もーほんまにーどんだけー。ってなんでやねん!」
鬼「うわ、さっぶ!お前ノリツッコミヘタやなー」


ケタケタと鬼灯は笑いだして、つられて仏気は笑った。








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