鬼と仏の福笑い

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僕の知らない君のこと
君の優しさは・・見えなくて。


【8:案ずるより生むが易し】



仏「やめる・・・?」
鬼「そう、もう終わりにしよう。
こんなんやってても将来何にもならん
そんでもって、もうお前とつきあうのに疲れた。」
仏「ッ!な、何言ってるねん!あほか!
これからやろ?俺ら。」
鬼「・・・・・めんどくさいねん。わかるか?」

ふっと鬼灯は笑って、まるで気持ちまですれ違うように仏気の横を通り抜けた。
屋上に一人仏気は立ち尽くしていた。
そして、それからしばらく鬼灯と仏気は合うことがなかった。
仏気は毎日休み時間には屋上か鬼灯の教室に向かったが、
当然鬼灯はそれを読み取ってかいなかった。



仏「そんなこと、なかったのに・・」


どうしてこんなに急に避けられるかわからなかった。
少し前までは自分に気を許してくれていたのに、この豹変ぶりはおかしい。
どうしても理由を聞きたくて、必死になって探していた。


東「あ、・・・仏気くん・・だっけ?」
仏「ん?あぁ、東さんか」

偶然にも仏気は東と出会った。
どうやら東も鬼灯を探しているらしい。
仏気と同じ気持ちだったようだ。


仏「この前は・・鬼灯があんなこと言ってごめんな・・・俺が止めてればよかった。」
東「ううん。私も悪いし・・・
それに桃ちゃんはね本当は優しいの。
だから、この前言ったこと絶対おかしいよ。」
仏「あぁ、俺もそう思う。」
東「そういえば、桃ちゃんとどうしていつも一緒にいたの?
あの桃ちゃんと一緒にいるってすごく大変なことだよ」
仏「俺な、仏気とコンビ組んでるねん」
東「コンビ?・・もしかしてお笑いの?」
仏「そうそう!でもな・・この前別れてくれっていわれてしもうた・・ははは」
東「…」
仏「もちろん、別れる気はない。
しっかりとした理由を聞かなアカンから
鬼灯を探しとんのやけど・・・」
東「見つからないよね・・」



落胆していると遠くの方で何かどたばたと音が聞こえた。


鬼「だーかーらー、はいらんっていうとるやろうが!!!!!うっとおしいねん!!!しねええええ!!!!!」
柴「死なんぞ!!!こら、またんか!!!」
鬼「あほか!お前の心臓ごと停止してしまえ!!このクソ駄犬!!」
柴「俺は猫派じゃい!!」
鬼「知らんわぼけぇええ」


ものすごいスピードで鬼灯が廊下を走っている風景が見て取れた。
久しぶりに見た、二人の追いかけっこ。
そしてこちらへと向かってくる。
しかし、柴田に気を取られていて鬼灯はこちらに気づいていない。


仏「鬼灯!!」
東「桃ちゃん!!!!!」

鬼「げっ」

二人していっせいに叫ぶとやっと気付いたのか鬼灯はさらに険しい顔をして急ブレーキをかけた。
しかし時すでに遅し、鬼灯ははさまれてしまった。
もう鬼灯に逃げ場はない

鬼「チッ」

柴「よしっ!仏気と東!そのまま鬼灯を止めておいてくれ」
仏「がってんしょうちのすけ」
東「(意味わかんないよ!!)わかりました」



鬼灯はじりじりとよってくる二方を交互に見て鬼灯にとっては絶体絶命だ。
しかし窓のほうをみて何か思いついたようで、仏気のほうを向いてニッっと悪魔の笑みを見せた。

仏「!?」

鬼灯は、素早く窓を開けてそこに足をかけた
追いかけていた二方はそれを見てぴたりと鬼灯を追いかけていた足を止めて、青ざめた。
なぜそうしたかというと…


仏「まて、ここは、3階やで!!」
柴「早まるな。わかったから、おちつけええ!!」

仏気と柴田が説得する前に鬼灯はひらひらと手を振ってしてやったりな顔をした。

鬼「そんじゃあな〜」


鬼灯はその場にいた人間の静止の声も聴かず
飛び降りた。
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