鬼と仏の福笑い

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あなたはいつでも
憧れだった。


【11:風と女は閉じ込められない】


鬼「くそっ。大丈夫か元木!」

鬼灯は勢いよく保健室のドアを開けて元木のそばに駆け寄った

元「…桃さん。すみません…。でも、喧嘩してねえっすよ。殴ってません・。」
鬼「今、そんなこと言ってる場合やないやろ。
やまもっちゃん、元木は大丈夫なんか?」
山「大丈夫よ、普段から桃ちゃんに鍛えられているから軽い打撲ですんだ。」
元「そうですよ。桃さんが悪いわけじゃないです。
むしろ、見舞いに来てくれるなんて嬉しいです。」
鬼「当たり前やろ、お前らはうちの舎弟やねんから」
元「…親分。」
安「一生ついていきやす」
山「はいはい、任侠映画ごっこは保健室では禁止だからね〜」



養護教諭の山本は微笑ましくその光景を見ていた。
鬼灯は元木の姿を見て一安心したが、代わりに怒りが込み上げてきた。



鬼「髪の色が目立つ奴やったら徹底的に絞り上げるか・・・。
いや、安田、お前たしか、一年のやつらって言ったよな・・・。」
安「はい。たぶん3人ぐらいいたと思います。」
鬼「3対2・・・。卑怯な奴らや。」
元「違います。俺たちをやったのはそのうちの一人。身長がめちゃくちゃ高いです・・・
あーしいていうなら、ほら、あの人ぐらい。」



と言って元木が指差した先にいたのは息を切らした仏気だった。
どうやら鬼灯の後を追いかけてきたらしい。



鬼「何しにきてん。」
仏「心配やからに決まってるやろ。」
鬼「お前には関係ないやろうが。」
仏「なにいっとんねん。関係あるわ。
いや、どーも、俺の鬼灯がお世話になっとるなあ。」
鬼「うっさい、ほんまなんやねんお前。」
仏「んもう、保健室では静かにしいや!あんたまた授業さぼろうと思ってんのやろ!
ん?」
鬼「オカンか!」



鬼灯は仏気にいつも通りのツッコミを入れて
今日できなかった分のネタ合わせみたいになった。
安田と元木もそんな二人を見て笑っていた。



鬼「安田と元木。」
「「はい。」」
鬼「よう、殴り返さんかったな。」

わしわしと二人の頭を撫でる鬼灯はふっと笑っていた。
この学校を統率する人柄だからこそ鬼灯は頼られていた。
そして同時にこの学校の不良たちに出したルールがあった
何があっても一般学生には手を出すなと
けんかはするなと
もちろんこのルールを破る者はいたが
このルールを守る者もいた。
それは、鬼灯を信頼しているからだ。
本気でついて行こうと決めているからなせることだった。



鬼「お前らを殴った犯人は、うちが絶対に探し出して断罪してやる。
やから、絶対にお前らは、そいつらにあってもしかえしするなや?」
「「はい。」」

仏「(…やっぱ鬼灯って…。リーダーシップがあるなあ・・・)」

鬼灯の人間性を改めて実感した仏気だった。


鬼灯と仏気は二人を保健室に預け
そのまま自分の教室へと帰った。

珍しく、鬼灯はそのあとの授業中目が覚めていた。


鬼「なあ、仏気。」
仏「ん?」


ひそひそと周りには聞こえない声で鬼灯は言葉を続ける。


鬼「一緒に犯人捜してくれへんか。
ってか・・犯人見つかってもうちを抑えるために横におってほしい。」
仏「!?」
鬼「うち、安田たちを殴った犯人を見つけたら、半殺しになるまで殴ってしまうかもしれんから・・・・。」


鬼灯の目は強く強く燃えていた。
そして同時に仏気は鬼灯の発した言葉の意味を理解した。



暴走しないように・・・止めてほしいということを。


仏「わかった。…これから行動は一緒やな。」
鬼「おん。」
仏「まあ、いつも通りやけど。帰宅もいっしょでいい?」
鬼「聞かれんでも、いつも一緒やんけ」
仏「そうやな。」




にっと、悪党面で笑った鬼灯と仏気はその後も授業をてきとうにうけ、
素早く一年の教室当たりをうろうろとしていた。




鬼「安田が言ってた情報によると髪の色はうちより明るい髪の色。
高さはお前ぐらい・・・・。
すぐに、絞れるな・・そんなデカブツは。」
仏「そうやな。」


大「デカブツがどうかしたんですか?」






急に後ろから聞きなれた声がしたので
2人は振りかえってその人物を見た。



鬼「星…。」





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