短編置場

□黒と蒼2
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真夜中、森の中を目にも留まらぬ速さで駆けて行く影が二つ。一つは狐の面を。もう一つは鹿の面を付けている。
二人は任務完了の証である巻物を持って、夜に消えていった。


―ひらりと。何時ものように窓から入った二人を見た綱手は、もう諦めたように溜息をつくだけに終わった。
「…はあ。報告書を貰おうか。」
「火影様。溜息をついたらしわが増えますよ?」
ぴら、と報告書を渡しながら狐の面が言う。名は蒼月。暗部総隊長を務めている。
「そうっすよ。ただでさえばーさんなのに。」
こちらも巻物を渡しながら言う。名は黒月。暗部総副隊長を務めている。
「…まったく。誰のせいだと…。」
「「俺(私)?」」
「……はあ。…そろそろ面を外したらどうだ?二人とも。」

すっと面を外す。面の下から覗くのは、碧と黒。

「さて、帰るか。ナルト。」
「ええ。シカマル。」
シカマルは、誰も見たことの無いような優しい表情で。ナルトは、はにかんだように微笑んで。
それを見た綱手は、驚きを隠すことができなかった。「お、お前達。いつの間に…」
「どうした?ばーさん。」「どうしました?火影様。」
「なぜお互いの正体を知っているんだい!?」
「なぜって…なあ。」
「ええ。シカマルが私の隠れ家を見つけて…そこから…まあ全て言ってしまったというか…。そういえば何で言ってしまってたんでしょうね。」
「まあいいんじゃねえか?今こうして一緒に居られる訳だし。」
「そうですね。…ちなみに黒月を暗部総副隊長にしたのもその事がきっかけです。」
「そんな訳で俺達付き合うことになったから。」
な、とナルトに言えばはい、と少し照れたように返事をした。

実は先程の任務の時、シカマルはナルトに自分の思いを伝えた。好きだ、と。
それを聞いたナルトは、驚いて固まっていたが、真っ赤になりながら小さく「私もです…」と答えた。
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