シーユーインザフューチャー

□フォッシルカラーの夜
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今とは違う現在(いま)があったの、なんて誰に問いかけているのだろう。大事なときに言葉ひとつ言えなかったあたしが。たとえそれを告げたとして、きみが応えてくれるなんてのはただの希望的観測にすぎないけど。夢を見ることはできても、結局あたしはリアリストでしかいられない。

どうしようもなくつらいとき、今でもきみを思い出す。残る記憶は曖昧さを増すばかりだけど、過去と現在が重なり合えばそれ以上の悲しみはない。断片的に散らばる優しい思い出から目をそらさずにいられる今なら、あの夜どんな気持ちで合鍵をあたしに握らせたのか、少しはわかるのに。







 

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