シーユーインザフューチャー

□投げられた花瓶を合図に
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触れたいと語るあなたの目に、触れてほしいと私は視線を投げかける。触れられずにいる私にあなたがするりと放ったチャンスにぶら下がるのは、こわい。
大丈夫、臆病なのはお互い様だ。自らの欲求はわかりきっているというのに、おかしな意地やプライドや余計なものが思考を鈍らせては鎌首をもたげる。誰だって傷付きたくはない。
それでも少しずつ確実に近づいてゆく。内から沸き上がるうだるような熱の矛先を見つめながら。
胸に飛び込むのが先か、引き寄せられるのが先か。どちらでもよかった。ただ、ずっと、触れたかった。






 

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