06/21の日記

17:16
また開いてしまった……
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「あ〜、うん、俺にゃ関係ねえな。特に変わったこともないし」
背中にイヤな汗が流れる。
まさかまさかと思いつつ、知らんぷりしてレノに聞いてみた。
「そのことでお前何かうちの若君から頼まれてるの?」
レノは目を丸く見開いて、純情そうな素振りをした。
「俺たちの仕事知ってるかな、と。まずは情報収集。あちこち探りを入れるのがお仕事だぞ、と」
「探りいれるっつうより嗅ぎまわる、だろ?離せよ、俺は急ぐんだ。もう遅刻!」
がっちりと肩に回したレノの腕を振り払った。
「情報ならカンセルに聞け!あいつなら路地裏の犬の糞の位置まで知ってるからな」
レノはにやにやすると「あいつは情報教えるのに選んでやがる。価値を知ってるからな、と」ザックスにバイバイと手を振った。
「情報の価値を知らないヤツから聞きまわるのが一番」

「るせえよ!」
こんな鬱陶しい赤毛とはさっさと離れるにこしたことはない。
あ〜、忙しい忙しいと言いながら、レノを振り切ってさっさと自分の詰め所に向かった。
だいぶ離れたころ合いを見計らって振り返ったら、まだレノはこっちを見ていた。


「ザックス!お前また遅刻じゃないか……」
詰め所で名前の書かれた木札を裏返していると後ろから声がかかった。
カンセルだ。
「いや、まあ、朝アンジールと相撲の稽古したりそこでレノに引き留められたり……」
はあと大きなため息が聞こえた。
「レノなんかと関わるとろくなことないって俺がいつも言ってるだろ?」
カンセルは、警備時にかぶる兜を投げてよこすと「さっさと支度しろ!城下の巡回時間だぞ!」と呆れ声を出した。
のろのろろ兜の緒を締めながら「なあカンセル、お狐さまの噂知ってる?」と一応聞いてみた。
カンセルのことだ、何か知ってるかもしれない。
「え?ああ、鎮守の三稲荷のこと?なんか一番小さいのが消えたとかいう話だけど」
「レノにその話された」
ふ〜ん、やっぱり……、とカンセルは武器の点検をしながらうなずいた。
「何なの?大事なことかよ。たかが子狐のお稲荷さまが消えたってどうってことないだろ?」
お前ってマジ何も知らないんだねと前置きしてから、カンセルは詰め所の端にザックスを引っ張っていった。
「いいか、うちの国の歴史ちっとは覚えてるか?」
「う〜、まあ大体」
嘘つけ、といいながらカンセルは神妙な顔で説明した。
「170年前の大災厄知ってるか?あれは小さいお狐さまが出奔したのを天狐さまが探し廻って起きたんだぞ。
森は根こそぎなくなるし、川は溢れるわで大災害が起こったのは聞いたことあるだろう?」
「そういやそんな話聞いたことある……」
「あれと同じことがまた起きたら大変だって上の方は密かに子狐探してるんだぜ」
「子狐?」
「ああ、人型の時は金髪に青い目で、10才くらいの子どもの恰好してる。めっちゃ可愛いって話だ」
ーーーはい、そうですか。
あまりに覚えのある話に手が震えた。
「じゃあその子見つけてお稲荷さんの神社に連れていけばいいんじゃね?さっさと帰れ!って」
もうそろそろ巡回も本格的に遅刻しそうなのに、カンセル自ら話をつづけた。
「そんな簡単じゃないんだって。子狐は妖力が弱くて一回人間界に来るとほとんど力が使えないらしい」
「それに……」
「それに?」
「結構我が強くて一回こっちで美味いメシ食うと帰りたくないって駄々こねるんだとよ」
「食い意地の張ったヤツだな」

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食い意地の張った子狐は、某所ですでに餌付けされてしまった!
知らぬ間に神羅国大ピンチ!

◆拍手レス

>5月20日のかた
久しぶりにショタっぽいクラウド書きました!
あまり色気のない食い気一本やりのクラウドですいません!
ギャグっぽいFTのつもりで書いてます。
少しずつアップしますので、よろしくです!

>6月10日の方
わあああ!EDEN購入された方ですか!
それはなんとも嬉しい限りです!
5年かかって1000ページ以上書いたほろ苦い思い出がよみがえりました!
ありがとうございます!まだやってます。

>14日の方
クラウド狐は知らぬ間に厄災を引き起こすのです。
楽しんで書いてます。ぼちぼちいきますので、よろしくどうぞ!


イベントどうなるかわからない今日この頃ですが、何とか新刊だしたいと思っております。
何冊目?25?26?(コピー本、無配いれて)
結構書いてきたなと。

cyunkiti拝

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