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□-沖田サイド-
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実は、最近悩みがある。
新八と付き合って3ヶ月、未だにキスをしていないこと。
普通、これ位の期間あれば、キスの一つや二つ、かましてると思う。
で、俺は。
正直、飢えてる。
なんで、キスしない?
ってか、キス出来ない?
雰囲気がない、新八にその気がない、新八は興味ないっぽい。
男子高校生じゃないみたいで、もう還暦迎えた夫婦みたいな。
そんな関係。
でも俺は、そろそろしたから!
新八!
こうなったら行動あるのみでさぁ!
〈君の恥じらい僕の掴む手〉
-沖田サイド-
「え、キス…?」
新八が呟いて顔を傾ける。
よくやる、俺の好きな仕草だども。
今は傾けられると凹まぁ。
気を取り直して、明るく話題を深めよう。
「そ、キスでさ。いつになったら俺たちはキスするんで?」
って…新八の顔が相当かわいくなくなっちまったんだけど。
箸、落としたぜぃ。
俺は紳士(新八にはホントに紳士だぜぃ!)だから拾ってあげる。
ついでに新八の弁当包みで拭ってやって、いい彼氏だろぃ?
箸を受け取った新八は、今度は怒った顔だ。
「な、なんで今っ…ここ教室ですよ!?」
「どうせ誰も聞いてないぜぃ。」
「わかんないでしょ!」
警戒するように辺りを見回す新八に合わせて俺も視線を巡らす。
みんな、飯食ってる。
お喋りに夢中だし。
オエッ…土方の犬の餌見ちまった。
誰も、窓際でメシ食ってる俺達なんか気にしてない。
レンズ越し、普通サイズの目を此方に向けた新八に笑いかける。
「ほら、ねぃ?」
ボソボソと新八が云った。
「ぅっ…ですけど、今までそんな事云わなかったじゃないですか…」
「そりゃ、我慢してたんでさぁ。」
「え…ぁ、ぁー…」
我慢してた、なんて云われたら言い返せないだろぃ。
だからって、曖昧にしながら弁当に顔を戻す新八を許しはしない。
「俺とキス、したくないんで?」
拗ねたようにしてみせる。
すると観念したのか箸を置いた新八が困った顔で、
「違…まだ、早くないですか…?」
なんて訊くから。
早い!?
素っ頓狂な声が俺の口から上がる。
「早いもんか!今時保育園児でも朝ちゅーすらぁ!」
「声、でかいっ!」
「俺たち、保育園児より健全な付き合いなんだぜぃ。いい加減遅れてらぁ。」
「えぇー最近の子供って…ませてるなぁ…」
違う違う。
俺らがおかしいんだ。
話を戻そう。
「で?キス、したくないんで?」
新八は暫く考える素振り。
そこは即答して欲しかったぜぃ…。
勿論『したい』で。
しかも早くしないと、昼が終わってしまう。
ところが新八は他人事のように云った。
「想像、出来ないんですよねー…」
「何て?」
「ですから…うーん、僕が沖田さんとキスする?とか想像出来ないんですよ。」
想像って…
キスに想像が必要かい?
「キスを知らない訳じゃないだろぃ。」
「そりゃ、キスぐらい知ってますよ。…したことないけど…」
「じゃ、何…」
「僕の中で沖田さんとキスするって意識ないんです。違和感…かな?」
違和感。
したことないから…?
なら、したらいいんじゃないか?
「オーライでさ、新八。」
立ち上がって云うとポカンとする。
「は?」
「行こうぜぃ」
「え、ちょっと!?」
俺は新八の腕を掴んで印刷室へ向かった。
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前から、いいんじゃないかと思っていた印刷室。
人、来ねぇからね。
ドアに押し込み内側から鍵を掛けると。
慌てたような新八の声。
「沖田さん、なんすか…ちょっと…」
戸惑う新八に近付く。
だってねぃ。
わからねぇんだろい?
キス?
なら、実践あるのみ。
「実際体験してみないとわからないだろぃ?」
「え…ぁ…」
新八を古紙が積まれた棚に追い込み。
手を絡めやんわりと揉む。
柔らかい手。
性感あるんだけど、効果はあるのかな。
まぁ、折角だから雰囲気をね、作らないと。
これ位の方が新八もいいんじゃないか。
見上げてくるし。
嫌がらねえし。
目、閉じないのは我慢するか。
ちゅ...
おぉ。
触れるだけだけど。
新八意外に平気なんじゃねぇかな。
自分の唇を舐めると微かに弁当のおかずの味がした。
今度はもうちょっと進んでみるか。
顎に手をあて持ち上げる。
新八は目を閉じて。
お、乗り気?
やったねぃ!
今度はゆっくりと唇を合わせて。
うん、いいじゃねぇかぃ。
キスできそ…
「ぁ…や、いやだ…っ!」
「っ!」
え?
胸に衝撃。
気がついたら唇が離れて。
眼鏡を落とした新八が、顔を歪めていた。
2へ
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