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□そんな二人。
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冬の並木道を、土方と近藤は並んで歩く。


「あ!トシ、トシ!手貸して!」

「あ?なんで。」


白いもやを吐き出しながらウキウキと云う近藤を土方は見た。
ニコニコニコニコ…

この顔は、何か企んでいる。


「いいからさ〜。」

「…いやだ。」


警戒して首をふる土方。

その様子にプッと頬を膨らませた近藤は、


「貸してっ!」


無理やり土方の手を掴んだ。


「おいっ!ちょ、…‥え、なに?」


声をあげた土方は掴まれた己の手の行き先と近藤の顔を交互にみる。


「うっふふー。冬の風物詩、"恋人のポケットの温もり"。どう、あったかい?ときめく?」

「…いや、うん……‥」

「ちょっと、トシ?」


土方の曖昧な返事に不満な近藤は自分のコートのポケットに入れた土方の手をギュッと握りしめた。


「…近藤サン…‥」

「なに?」

「あんた、なんかポケットにいれてないか?」


近藤はきょとんとした後。


「あ…‥チョコレート入れてる…」


そう言ってポケットからそろりと握ったまま手を抜くと。

二人の手の甲には茶色の汚れ。

ポケットの中は銀紙に包まれたチョコレートがぐんにゃり溶けて、やっぱり茶色に汚れていた。


「あんたなァ…‥」

「…ごめん、トシ…‥あーもぅ…俺って…‥」


手を離した近藤は手の甲を見ながらしょんぼりとする。

そんな近藤に手を差し出す土方。


「近藤さん、手。」

「え?」

「ほら。」


今度は土方が近藤の手を奪い、絡めると、その甲に唇をあて、ちゅうと吸った。


「ととっ、トシ…っ!?」


近藤が戸惑う中、熱い土方の舌が冷たい近藤の手についたチョコレートを舐めとっていく。

ゆっくりとゴツい近藤の手の筋を辿る。

近藤の頬は火がついたように赤くなる。


「あっ、なぁトシっ…ここ道路っ…」

「つーか‥…俺のはやってくれねーのか?」

「えっ?」


土方はまるで上から見下ろすような目力で近藤を見上げゆっくりまばたきする。

近藤は逆にパチパチとしばたかせる。


「ぁ、でも、うん……やるっ」


そう言うと近藤は赤い顔で唇を土方の甲に持って行くと厚い舌でベロリと舐める。

土方の白く綺麗な手についた少しビターなチョコレート。

何度も舐めあげ、絡めた手の向こう、目と鼻の先にある近藤の目が恥ずかしさで潤んでいる。


「ふっ…‥」


それを土方は近藤の甲に唇を寄せたまま、笑った。


「っ…なんで笑うのトシっ!」

「近藤さんって可愛いな。」

「かっ、可愛い、とかっ…トシより年上だからね!俺!」

「くくっ、関係ないぜ、それ。」

「う、うるさいっ!ほら、もう綺麗になりましたー!」

「あぁ。ほんとな。」


土方は笑うと、そのまま自分の上着ポケットに握った手を突っ込む。


「ぇあっ?…‥ト」

「近藤さんの手、熱いぜ。どうかしたかよ?」

「エッ?…あ!もー知らんっ!からかってばっかり!トシのばかっ!」


笑いながら二人は冬の並木道を歩き続ける。

冬には少しビターなチョコレートをポケットへ。



そんな二人。



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^p^ アイチテル。

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