Silver Soul
□昼下がりの縁側
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昼下がりの縁側
うららかな昼下がり、俺と沖田隊長は縁側に寝転がっていた。
副長が市中見廻りに行っているので鬼の居ぬ間にとミントンに勤しんでいるところで一緒に寝ろと半ば命令的に誘われたのだ。
二人して無言で寝転がり、流れる雲を見つめる、と云っても沖田隊長は愛用のアイマスクをつけているので見ている訳じゃないんだけど。
うぅ〜ん、たまには日向ぼっこも悪くないなぁ〜。
俺は伸びをすると指を組んで胸の上におく。
黒い隊服が太陽の光を吸収して全身がポカポカと暖かく、空を飛んでいる鳥を目で追っているとうとうとと眠くなってきた。
目を閉じても瞼を光が射し、明るい。
確かに熟睡するにはアイマスクが必要だなぁ、さすが昼寝のプロ、沖田隊長だよ。
俺も今度から用意してみようかなぁ…なんて、俺が沖田隊長みたいにゆっくり寝てたら確実に殺られちゃうけど…うーん。
隣から動く気配がした。
沖田隊長が起きたらしい。
出来るだけ気配を消しているようだけど、躯を起こしてマスクを取って髪の毛を直す、なんて動きまで俺にはバレバレなんだよね。
向こうもそんなこと分かりきってる筈なのになんで無言で見つめてくるんだろ、居心地悪いなぁ、もう。
「なんですかぁ?」
俺は目を閉じたまま問いかける。
「ふがっ!?」
鼻を摘まれた。
驚いて目を開けると沖田隊長が俺を見下ろしている。
摘まれた鼻がヒリヒリした。
「なんなんですか、もう。」
「まぁまぁ」
そう云うと沖田隊長は俺の顔を両手でもみ出した。
頬を伸ばしたり縮めたり引っ張ったり、額を伸ばしたり、
「造形美〜、ここは鼻をもうちょっと高くしてー」
などと云いながらいじくる。
まるで俺の顔を創っているかのような動きだ。
俺は
「むー、沖田隊長ーやめて下さいよ〜。」
と口を尖らせながらも面倒なので好きにさせて目を閉じた。
顔面マッサージみたいな?
う〜ん、だんだん気持ちよくなってきたぞっ。
ついつい顔がゆるむ。
「可愛いねぃ、山崎ぃ。」
ちゅっ。
っ!!???
唇にキスされた。
目を見開く。
「なっ、ぅわっ、不意打ち…っ」
口を擦る。
「完 成。」
「えぇぇぇー…」
沖田隊長はそう云うとニヤリと笑った。
なんなんだよ、もー。
顔が赤くなってしまう。
久しぶりの唇は柔らかくて温かくて、こっぱずかしくてドキドキした。
あーぁ、あっちのが年下なのにな〜、こっちが緊張してるなんて絶対おかしいよなぁ、とか考えてしまう。
君と居る、そんな昼下がりの縁側。
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