Silver Soul
□mm
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設定:大学生の銀時と土方。
「ひーじかーたくぅん、シたいんだけど…」
夜、銀時の部屋でなんとなしに過ごしていると。
隣に座っていた銀時が後ろから抱きついてきた。
そのまま耳元で囁かれた言葉に土方は眉を顰める。
「は…お前…何て」
「だぁからぁ、土方とシたいって云ったの」
「…てめぇ…馬鹿だ馬鹿だと思ってたが、遂に脳みそとろけちまったのか。つまらねぇ冗談云ってんじゃねぇよ。」
「はぁ?馬鹿って云った方が馬鹿なんだっつの、馬鹿。それに冗談なんかじゃねー」
「あぁ?おま…」
突然、被さるように肩越しにキスをされた。
口を塞がれすぐ近くに銀時の鼻がある。
土方の頬に柔らかい銀色の猫毛が触れ、斜めの角度から舌が侵入しようと蠢く。
土方は停止していた思考の動きを取り戻した。
「…!はっ…や、止めろっ!!!」
慌てて突き飛ばす。
ごろりと転がり離れた銀時は親指の腹で口の端を拭っている。
「いってーな、唇が切れたぜ。」
「…てめ…」
銀時が自分にしたことが信じられない。
今までも、過剰と思える接触や普通でない言葉はあったが、こんな女にすることをされたことはない。
どこまでふざけているのかわからない、銀時の行動に土方は無性に腹が立った。
本気なのかと、期待してしまう。
「お前さ、すげー苦いんだけど。タバコどうにかしろよ」
「な、何すんだ、お前…頭狂っちまってんのォ!?」
「ちょ、ひどくない?それ。」
「うるせぇぇ!!ほんっと意味わかんねぇ!なんだ!?欲求不満か!?そのせいで俺にこんな、こんなこと」
「土方が好きだから」
言葉が途絶える。
土方は口をぱくぱくと動かしている。
「……ぁ…え…?いま…なん…」
「土方が好き。」
数秒固まった後土方は口元を押さえ俯いた。
顔をそらして目を泳がせている。
髪の隙間から覗く耳は薄紅に染まっていて、銀時は脈ありかもしれないと土方に繰り返してみた。
「土方…お前が好きだって。なぁ…好きなんですけど…」
「!!…や…おま…そんなこと云うんじゃねぇ…っ」
「でも好きだし…愛してる……ぅおげぇっ!!!なに、いま俺すっげー恥ずかしいセリフ云っちゃったよ!うぉぉっ、はずっ!死ぬっ!」
「てめっ…!!!云われたこっちが恥ずかしいわっ!」
真っ赤になりながら怒鳴る土方に銀時は前から抱きついた。
突き飛ばされ嫌がられるだろうと覚悟していたが何もしてこない。
何の反応もしない土方に銀時は少し焦る。
「あのー…もしもーし?襲い掛かった狂った男がチミを抱きしめてますけどー?…あり?」
銀時は体を離し、一向に文句を云わず俯いている土方を覗き込もうとした。
「……………しろ……。」
「…あぇ?悪い、聞き取れなかった…」
「……きにしろや…!」
「…あの、最初の方が聞き取れねぇんだけど」
「…っ、好きにしろって云ってんだ!」
「…へ?何を?」
「…お…おお俺…」
「土方を?…好きに?」
銀時は土方をまじまじと見る。
いつもポーカーフェイスを気取っている土方が、自分にこんなに動揺を見せて、乙女か生娘のようなことを…云っている。
可愛いじゃないの。
数回まばたきした銀時はニンマリと笑うと土方の顔を持ち上げ、かたく目を閉じている土方の唇に吸いつく。
両頬を挟んでいる手を掴まれたが、拒否ではないことが嬉しい。
苦味の強い口内を味わい軽く舌を絡め合うと、銀時の舌は顎を伝い耳を舐め耳朶をはむ。
「…う…ぁ、ん…っ」
土方の躰がびくっと跳ねる。
耳が弱いらしい。
土方が耐えかねたように顔を引き離した。
「はっ…ぁ」
「土方クン…可愛いのな。知ってたケド」
「…!…ほんと…うぜぇ…このクルクルパー…」
「はいはい、何云われても今日のお前は可愛いわ」
土方の汗ばんだ白い喉がひくりと上下した。
その光景に銀時の躰にゾクリとしたものが走る。
無意識に呟いた。
「…エロ…」
「!?…な…」
「あのさ、抱いてもいい?」
「…も…もう抱いてんだろ…?」
「ちげぇよ、お前に挿れたいんだって…」
「!〜〜〜!!!原始人か…!」
土方の顔は真っ赤になる。
「土方…」
「!…な…なんだよ…?」
「俺のこと好き?」
「だから、お前の好きに…」
「いや、とーしろーの気持ち訊くまではやらねぇよ。」
「と…とーしろ、って…」
「なぁ」
初めて呼ばれた下の名前に困惑する土方に無言で促す。
「…す…き、嫌いじゃ…ねぇ…」
「嫌いじゃねーけど、好きでもねぇの?」
「違っ…ぅ…す、きだ…好き…」
「…恥ずかしっ!小学生みてー!」
「ぁ…はぁぁぁっ?!てめ、こっちがどんだけ恥ずかしいと思ってんだ!さっきから恥ずかしいのは俺なんですけど!?」
噛みつく土方の肩を掴む。
「じゃ、いただきます。」
「おぃっ…え…は?ぎ…ぁ、」
銀時の突然の切り替えに土方はついていけぬまま耳の刺激に反応した。
耳に触れられるたびゾクゾクとし、心音と呼吸が早くなる。
やっと耳から離れた舌は首のラインを辿り、尖らせた舌先で土方の鎖骨をなぞりちゅ、ちゅ、と軽い音を立てながら吸い付いて這っていく。
顎に当たる銀時のフワフワの毛の感覚にまでゾクゾクしてしまう。
冷たい銀時の手が服の中に侵入してきたとき。
ぼんやりとしていた頭がはっきりとした。
「ぁ…ちょ…まて…」
このまま流れるものと思っていた銀時は土方のストップに驚く。
「ん…ん?何よ、これからって時に」
「シャワー…浴びてねぇ…」
「はぁ?そんなんいいって。とーしろーなら別に気になんないし」
「俺が嫌なんだよ。浴びねーならやらねぇ」
「…せっかくイイ感じなのに?」
銀時が不満げに云うと土方が顔を赤くしながら目をそらした。
「一緒に…入りゃいいだろ…?」
「!!!」
銀時は土方の顔を穴があくほど見つめる。
土方がここまで云ってくれるとは銀時も驚いた。
余りに見つめてくる銀時の顔を土方は掴み床に押し付け、風呂場へと駆け込む。
床に押し付けられ赤くなった顔のヒリヒリとした痛みに涙目になりながら銀時もそのあとを追いかける。
しかし口元だけはこれからの日々を考え弛んでいた-----------。
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むかーしむかしの作品。orz
急いでる感が痛々しい。