Silver Soul
□2
2ページ/4ページ
「………。」
「………。」
予想外の話に長谷川は言葉に悩んだ。
まさか万事屋の少年の話だとは思わなかった。
しかも…アレだ。
ちょっと考えれば行き着いてしまう結果は云うべきなのかどうなのか。
…銀さん気付いてんのかな...
長谷川はなんと云うべきなのか頭をひねらせた。
******
銀時は長谷川に沖田の下りは省いて話した。
そういう先入観無しで長谷川が新八の言動をどう取るか知りたかったからだ。
もしかしたら長谷川は別の意見を出すかもしれないし、何よりただの勘違いだったら色んな人間に誤解させて新八の居心地が悪くなるだろうから。
でも長谷川の様子だと同じ結果のようで。
第三者からするとやはりそうとれるらしい。
「…ぁのさ、その…新八君の事なんだけど、」
控えめに長谷川が口を開く。
「多分、銀さんがアレな意味で好きなんだろうな…ぃや、多分だからね?思春期だからイロイロあると思うんだけど…」
「で、なんで寺門通の話しに行くの。」
銀時はもうその部分には触れずにわからない部分だけ尋ねた。
長谷川が暫し沈黙して口を開く。
「…戸惑ってるんじゃないのか?」
「は?」
「ほら、自分が銀さんを好きってことが受け入れ切れてないとかさ。普通に女の子が好きなんだって確認したくなったんじゃないのかな…」
「ァー…」
長谷川の答えについ納得してしまった。
だって辻褄がさ、あっちまうから。
銀時はもう完全に受け身体制だった。
今日は自分では思いもしない他人の考えに反論し過ぎて疲れてしまったから。
それに云われればそうなのか、と納得してしまう自分に疑いをかけるもの疲れた。
冷静に冷静さを欠いている自分。
これから何をすればいいのかもわからない、と銀時はぼんやりと景色を見ていた。
「銀さん、どうするんだ?」
ぼんやりとした銀時の耳に長谷川の声が滑り込んできてぼんやりとした瞳で長谷川を見る。
「なにがよ」
「捜さないの、新八くん」
「…捜した方がいいの?」
「ぇ…だって行方不明なんだろう?」
「いや行方不明ってか…まぁ…」
銀時は項をさすり言葉を濁す。
捜さない方がいいんじゃないの?
だって、避けられてる気がするし。
ここは放っておくべきじゃ?
"新八"という壊れ物の扱い方にあぐねる。
そんな銀時に長谷川は口調を緩めて諭す。
「でもさ、やっぱ本人の気持ちを本人から訊かないと駄目だろ、銀さん。個人的にも万事屋としても、さ。」
長谷川の言葉に銀時は視線を向けた。
グラサン越しに視線を合わせる。
「………そぅだよな」
「そうだって」
「…アンタもたまにはマトモな事云うのな、長谷川さん」
「まぁな、はは」
たまには、ね、と乾いた笑い声を発しながら長谷川は煙草を呑んだ。
よっと銀時が立ち上がり肩を回す。
それに攣られて長谷川も立ち上がってグラサンを押し上げた。
銀時が肩をすくめながら長谷川を見る。
「じゃ、もいっかい捜してみるわ」
「ああ、頑張れよ」
銀時が背中を向けて歩き出す。
その後ろ姿を見ていた長谷川はグラサンを上に持ち上げた。
久しぶりのクリアな視界に白い綿毛が揺れていた。
next→