Silver Soul

□iH
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私はこたつに潜ったの。
探してもらおうと思って。
軽い悪戯。
引き戸の音がして。
二人が買い物から帰ってきた。


「神楽ちゃーん、あれ、居ないや」


ほら、新八が心配してる。
神楽ちゃんが居ないって。
銀ちゃんも後ろからきた。


「どっか、遊びに行ってんじゃねーの」


なんて言いながら買い物を床に下ろしている。

私はここにいるアル、といって飛び出したい気持ちを必死に抑えたの。
もうちょっと心配させてみたいから。

私が潜んでいるこたつの部屋を新八が襖から顔を覗かせて見回している。
全然気づかないみたい。
早く驚かせたくてウズウズするけど。
まだ、一番心配させたい奴の反応を見てないから。

クルクル頭を掻きながら部屋を見渡している。
捜すアル、私は心の中で叫びながら顔はドッキリが成功したときのことを想像してにやにやするの。


「どこに行っちゃったんだろう」


不思議そうに新八が眉を寄せている。
天パーはいつ反応を見せるのか。


「だぁから遊び行ってんだって。」


何でもなさそうに云う銀ちゃんの声が聞こえる。
それだけかヨ!と私は頬を膨らませて後で覚えてるネ、と心の中で毒づいて。
また息を潜めた。


「でも、そろそろご飯の時間ですよ?」


新八が銀ちゃんを見上げている。
そうそう、そうやって天パーの不安を煽るヨロシ。
ギシっと床が鳴った。


「まぁ、大丈夫だって…」

「ちょ…」


あ、死角で二人が見えなくなった。

………
………?
突然の静寂に私は首を傾げる。
何だろうか。
すると暫くして。
ちゅ、くちゅ...と聞き慣れない音がしてきた。


「はぁ…止め、ン…ぁ」


???

新八の声。
だけど何か変。
聞いたことない新八の声。


「や…止め、て…はぁっ」

「新八…」


囁くような銀ちゃんの声。
新八は何か止めようとしてるみたい。
シュル、と布ずれの音が聞こえてきた。


「ぅあ…っ、ぎ、んさんっ、ダ…メっ」


新八が辛そうな声で銀ちゃんを呼んでいる。
すごく気になるんだけど、出ちゃいけない気がして。
私は耳をそばだてて様子を窺った。


「ぅんっ、ぁ…あっあぁっ、や…は、はぁ、ん……」


またくちゅ、ちっ、と小さな音がする。
呼吸の荒い新八の声は完全におかしくて、私は鳥肌がたった。
向こうに居るのが誰なのかわからなくなってきたの。

あれは、誰…?


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