Silver Soul
□汁粉の麩
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スンスン
これは。
俺の好きな。
あんこの匂いだ。
*汁粉の麩*
銀時はごろり、と転がると起き上がった。
畳の上でゴロゴロとしていた頭の毛は、
好き勝手な方向にはねている。
それに構わず欠伸をひとつ。
スンスン、スンスンと鼻を鳴らしながら
匂いの元へふらふらと足を進めた。
「・・・せんせぃ」
小さく呟くと
「ああ、お寝坊さんが起きましたね。」
と笑いながら先生が鍋の中身をかき混ぜている。
中身はふつふつと甘い湯気を立てて。
寝ぼけた銀時の鼻孔を刺激する。
椀を持ったヅラが
「寝すぎだぞ、銀時。朝もゴロゴロ、昼もゴロゴロ、なんだ、糞コロガシにでもなりたいのか。」
ぶつぶつと呟く。
「意味わかんない、ヅラ。糞コロガシは糞を転がすから糞コロガシってのよ。」
銀時は炊事場に降りながら口をとがらせた。
「ほらほら、御二人さん、糞コロガシは忘れて。」
もうできましたよ、と先生がヅラの背中を押しながら笑う。
「銀時さんはお餅を見てきてくれますか。」
あちらで晋助さんが焼いてますから、と指をさすと
銀時の頭を撫でる。
うう。
銀時は頬を赤くして
それを避けると
庭へ出た。
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