Silver Soul

□大江戸歌舞伎町名物
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俺の名前は土方 十四郎。
泣く子も黙る真選組、鬼の副長だ。

何かと物騒な歌舞伎町の通り。
気を引き締め今日も真面目に巡回する。


「ひっじかたクーン!」


む、この声は!

振り向いた俺の目に飛び込むのは。

軽やかに揺れる銀髪。
遠目からでもわかる男だのにきめ細かい陶器のように白い肌。
はっきりとした美しい目鼻立ち、かつ可愛らしさをたたえた顔。
その顔を子供のように無邪気な笑顔にさせ駈けてくる姿はキラキラと輝いている。
なにかキラキラしたものを振りまいている!
銀時ィィィ!!!!


「愛してるっ!」

「あぁ!俺もだ!」


広げた腕に飛び込んできたしなやかな躯!
ふわふわの銀糸からは甘い香り。
胸一杯に香りを吸い込む鬼副長!
またイチゴ牛乳を飲んだんだな?香りだけで何を飲んだかわかる俺。
けして変態ではない!
さぁ、力いっぱい抱きしめて。

あああ!俺の…エンジェル!

と、まぁ真っ昼間から抱き合う男二人。
かなり、気持ち悪い。
しかし、毎日のことなので人々は気にしない。
大江戸歌舞伎町名物カッポーなのだ!


「会いたかった!」

「俺もだ銀時っ…!九時間十二分ぶりだ!」


そういって、ひっしと抱き合う姿は、大江戸歌舞伎町名物バカッポーである。
喧嘩仲間が乗じていつの間にやら恋人同士になった。

いやいや、俺は初対面から銀時の美しさに悩殺されてたんだ!

愛らしく垂れた瞼の奥、紅い宝玉のように輝く瞳。
形のよい唇から零れる音は俺の脳を痺れさせ、開いた胸元から覗く鎖骨は官能的に俺を誘う。

こんなだから会った後は毎回鼻血が出るほどやられてた!
そう、これは運命の出会い。
ところが、なかなか素直になれなくて、それがじれったくて。
ある日銀時にキスしてしまった。


『ぁ、悪いっ…』

『…ゃ…え?…何今の…』

『お…お、お前が好きだ!』


肝が冷えた。気持ち悪りーなんて罵られたら確実に自殺してた。

けど、その時の銀時の顔といったら!


『ゎ…悪くなんか…ねーょ…つか…歓迎…?』


もう人生最大の幸せだった。
宝くじ一等なんかよりもマヨネーズ一年分当たるより幸せだろう!
透明な頬を紅梅を思わせる風に染めて、もじもじと云う姿はある意味死にそうだった。萌え死ぬぅう!

ってなわけで、ラヴラヴ道まっしぐらな二人。
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