宇宙をかける少女 〜過去からの旅人〜
□過去からの来訪者
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「ここは……どこだ……?」
突然だが、この声の主は今、迷っている。
つまり、迷子になった。
だが、ただ迷子になったわけではない。
とりあえず、冷静に状況を把握する。
(えっと……確か、俺はヨーロッパのどっかの山で夜空を眺めていたらいきなり……ワープゾーン?って言うのかな?渦巻きみたいなのに呑み込まれて……)
そして、今に至る。
因みに声の主は17ぐらいで、いまどき珍しい黒髪の長い少年だった。
大きな鞄を背負っていて、古びたマントを纏っていた。
そして、腰には何重にも布で巻いている剣を携えていた。
少年は周りを見渡す
妙に見たことのある光景。
「ロンドンかなぁ……」
街並みがそれらしいが夜にしては余りにも暗く、人の気配すらない。
そして、何より気になるのは不思議な形の時計塔だった。
「地球にこんな所は無かったよな……」
すると。
「ん?」
鐘に似た音が鳴り、それはゆっくり少年に近づく。
「路面電車?」
それは運転手も増してや客も居ない路面電車だった。
少年の前で停まると自動でドアが開く。
(入れってことか?)
警戒しながら恐る恐る中に入る。
入るとドアは自動に閉まり発進した。