宇宙をかける少女 〜過去からの旅人〜
□出会いと四本の剣
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深く暗い眠りの中、誰かの声が聞こえる。
『わかっているな?』
凛とした女性の声。
覚えている。
いや、忘れるはずがない。
あの人は俺に命と力をくれた人だから。
『お前は不完全な存在だ』
いつも心配して言ってくれた言葉。
『だから、本物にもなれるし、元にも戻ることができる』
俺の生きる道の選択。
『お前に天星の龍の力を与えたのは不完全なお前を守るためだ』
あの人は俺を守るためにあの剣を与えてくれた。
『もし、一人を選ぶなら本物になれ。だが、他人を選ぶなら元に戻れ』
多分……もう大丈夫ですよ。
『私はお前に名をやらん。お前が人としての正しき道を進むために、私は未来に訪れる希望を信じている』
希望。
もしかしたら、信じている人はあの人なのかもしれない。
『では、さらばだ。私はいつでもお前を愛しておるぞ』
そう言って俺の前から消えたあの人。
元気でいてくれれば良いけれど。
いや、あの人なら絶対大丈夫だ。
だって、あの人は……。
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