宇宙をかける少女 〜過去からの旅人〜


□出会いと四本の剣
1ページ/19ページ

深く暗い眠りの中、誰かの声が聞こえる。



『わかっているな?』



凛とした女性の声。



覚えている。



いや、忘れるはずがない。



あの人は俺に命と力をくれた人だから。




『お前は不完全な存在だ』



いつも心配して言ってくれた言葉。



『だから、本物にもなれるし、元にも戻ることができる』



俺の生きる道の選択。



『お前に天星の龍の力を与えたのは不完全なお前を守るためだ』



あの人は俺を守るためにあの剣を与えてくれた。



『もし、一人を選ぶなら本物になれ。だが、他人を選ぶなら元に戻れ』



多分……もう大丈夫ですよ。



『私はお前に名をやらん。お前が人としての正しき道を進むために、私は未来に訪れる希望を信じている』



希望。



もしかしたら、信じている人はあの人なのかもしれない。



『では、さらばだ。私はいつでもお前を愛しておるぞ』



そう言って俺の前から消えたあの人。



元気でいてくれれば良いけれど。



いや、あの人なら絶対大丈夫だ。



だって、あの人は……。



.
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ