novel
□ダッシュで買ってきて
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(ブラック・ジャック)
キリコとユリの話。
キャラ壊れてるので注意!
「兄さん、大変よ!」
それはユリのそんな一言から始まった。
「なんだっどうした!?」
キリコは妹の大変発言を聞き慌ててそう聞いた。何しろ妹が大変だと言っているのだ。落ち着いている場合ではない。
しかしそんなキリコの様子とは違い、ユリは落ち着き払って一言。
「お醤油が切れたわ」
「…なに?」
「だからお醤油」
キリコは一瞬理解が出来なかった。
大変だなんて大袈裟に言っておきながら(ある意味大変だけど)お醤油ってなんだ。お醤油って。
というかお醤油ぐらい買っとけよ。
ソースは家に五本程ストックがあるのに、何故醤油は無いんだよ。
もっと醤油の事も愛してやれよ。
そんなことを考えているキリコの耳に妹の信じられない言葉が聞こえた。
「しかも一週間前から」
「…ッはぁ!?一週間前からだと!!?」
「そうよ」
とくに悪びれた様子もせずユリはしれっと答えた。
その頃キリコの頭の中では、脳みそをフル回転させ考えごとをしていた。
…ちょっと、待てよ。
一週間前っておかしいだろ…。だって昨日卵焼きに醤油かけたばかりだぞ…?
醤油無いはずなのに醤油かけて食べたっておかしくないか。
いや、ちょっと待て。
もしあれが醤油では無く別のものだったら?
多分そうだ!
あれは醤油では無く別のものだったんだ!
じゃあアレは何だったんだ?
これは直接本人に聞くのが良いだろう。
考えも纏まった所でキリコはユリに聞いた。
「…なぁユリ、昨日の醤油(?)は何だったんだ?」
「あぁ…あれ?
…フフ、秘密」
秘密じゃねぇよ。
なんだその含み笑いは。
「そんなことより兄さん、お醤油買ってきてくれない?」
こいつそんなことよりで片付けやがった。
俺の命<<<<<<<<越えられない壁<<<<<<お醤油って感じか。
「どうせ今日も暇なんでしょ?だからお願いね」
今日もは余計だ。
それに今日は一人予約してる奴がいる。まぁ、ユリには秘密だが(言ったら全力で止められる)
全く、この妹は人をひきこもりか何かみたいに…。
ここまで言われっぱなしもしゃくなのでキリコも負けじと言い返す。
「お前こそ暇だろうが。お前が行ってこい」
それに対しユリは、
「兄さん…行 っ て く れ な い の ?」
と言い手に持っていた包丁をちらつかせた。
それを目の当たりにしたキリコは青ざめ、乾いた笑いをしながら言った。
「や、やっぱり暇だし行くか。」
内心冷や汗がダラダラと垂れ流しになっている。
これでナイル川ぐらい作れるんじゃなかろうか。
「─あ、そうだわ。
ついでに大根もお願いね」
そんなキリコに更なる追い討ちをかけるユリ。
しかしキリコも黙っていない。
兄の威厳を取り戻さなくては!
そう思い反論しようとするも、
「嫌なの?」
とユリに一言言われ
「いや…、行ってきます…」
とまた冷や汗ダラダラで答えた。
兄の威厳は粉々に崩れ去った。
スーパーに行く道すがら妹には当分勝てそうにない、そう思うキリコだった。
ダッシュで買ってきて!
兄さんこれ醤油じゃないわよ
…え?
ほら、ソースって書いてあるじゃない
ま、間違えた…
行き直しね
ちょ…まじでか
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あとがき
キリコよりもユリさんの方が強そうですよね。
何だかんだ言ってキリコはユリさんに甘いといい。で、いいように使われてたらいい。
08814 虹色とまと
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