others novel

□お前どれだけ俺のこと好きなんだよ
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私はリョーマのことが好き。

誰よりも好き。



でも、リョーマはうっとおしがってるみたい。




好きなことって悪くないよね?



なんでかな?





「見て見て、リョーマ!」

「何?」

「ほら、これ!この間欲しがってたゲーム!」

「あぁ、それね」

「昨日安いの見つけたんだよ!」

「あっそ」

「欲しいんじゃなかったの!」

「別に」

「何それ!折角欲しがってたの思い出して折角のお小遣いをリョーマのために使ったのに!」

「頼んだ覚えないけど」



なんでこう可愛げ無い態度ばっかり取るの?

私はただ、リョーマにあげたいって思ったから買っただけなのに…。



「リョーマのバカ!もう大っ嫌い!」



悔しくて悔しくて思わず部室を飛び出してしまった。

喜んでもらおうと思っただけだったんだけどなぁ…。

なんでこうなっちゃうんだろう。



もしかして、リョーマは私のことほんとは好きじゃないのかも…。

無理して付き合ってるのかも。

そんなのイヤ!

お情けで付き合ってもらっても困る!




「もう、ホントに知らないんだから…。」



ホントに悔しくて涙が出てきた。

なんで私が泣かなきゃいけないのかな?

こんな自分がバカバカしくなってくるじゃん。



「リョーマの…、バカ……。」



泣きながら小さい声で呟いた。

ただ好きなだけなのに。

こんなに辛いならもう良いよ。




「誰がバカなの?」

「っ!」



後ろで声がしてビックリして振り返る。

すると、リョーマがため息をついて近付いてくる。



「来ないでよ!」

「何泣いんの?」

「来ないでって言ってるでしょ!」

「……」

「リョーマなんて嫌いなんだから!ホントに…。ホントに…、嫌い…、なんだから…。」



ただひたすら泣くことしか出来ない自分が情けなかった。

もっと違う言い方だって出来るかもしれないのに。

好きなのに嫌いだという自分がホントに惨めでしょうがない。




「あのさ」

「何よ!」

「たぶん同じとこで買った」

「え?」

「ゲーム。お前と同じ所で買った。」

「ハァ!?」

「ハァー…。だから、俺もう買ったんだって。」

「信じらんない!なんで教えてくれなかったのよ!ってか、私のお小遣い返せ!」

「なんで一々買った物をお前に報告しなきゃいけないわけ?」



確かにそうだ。

つまり、リョーマが買ったか確認しなかった自分も悪い。



「そ、そうかも知れないけど…。」

「あのさあ」

「な、何?」

「俺を喜ばそうとするのは構わないけど、勝手な空回りは困るんだけど」

「っ!」



もはやこうなっては恥ずかしいだけで。

自分の顔が赤くなるのが分かる。

穴があったら入りたいとはこのことだろうか。



「お前さ」

「?」

「その顔は反則」

「は、はい?何言って―――っ!」



ちゅっという音と唇に感触が残る。





「お前どれだけ俺のこと好きなんだよ」





リョーマは笑いながら私に言った。




そう。

私はリョーマが好き。

この笑顔を見ただけで私の心臓はドッキドキ。



リョーマの方が反則だってこのときは思った。








END.

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