conan novel

□今出来ること…。
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今自分が出来ること…。

それは、あいつを見守ること。
それしか出来ない。


自分勝手なことだって分かっている。
俺はあいつに会いたかったらすぐ探すことが出来る。
でも、あいつは俺のことを探すことが出来ない。


俺の体が小さくなったからだ。
「江戸川コナン」としてならいつだって会える。
でも、「工藤新一」としてはあいつと会うことが出来ない。


何度もあいつに体が縮んだことを説明しようかと思った。
でも、あいつを巻き込みたくなかった。
あいつに言ったら無理をするに決まっているから…。
俺の所為であいつを危険な目に合わすわけにはいかない。


これはあいつの為だ。
でも、電話で「工藤新一」として話した後に蘭の顔を見るといつも寂しそうだ。
そして「江戸川コナン」としての俺に『なんで肝心なときに傍にいてくれないんだろうね』と言う。
俺はそれを聞いても何も言えない。
自分でもなんて蘭に言ってやったら良いか分かんないからだ…。


あいつは俺の帰りを待っている。
俺も早く元の体に戻ってあいつにこれ以上心配掛けさせないようにしたい。
でも、簡単にはいかない。


俺が元に戻ったとき、俺はあいつになんて言葉を掛けるのだろうか?
『ただいま』とでも言うのだろうか。
それとも何も言わずにただ抱きしめるのだろうか…。
元に戻りたいと思っても元に戻った時の想像なんて付かない。

その時は完全に黒の組織の奴らをぶっ潰しているのだろうか?
潰したとしても、もし灰原が元に戻る薬を開発出来ていなかったとしたら…。
俺は蘭に本当のことを話すのだろうか?



偶にそんなことを頭の中でグルグルさせている。
しかし、結局結論なんて出ない。
未来のことは誰にも分からないからだ。
俺もそんなこと考えるってことはどこか不安なんだろうか…。
人間は不安になるとマイナス思考になるという。
だからただ単にマイナス思考に考え過ぎているだけかもしれない。


俺が今言えること…。
奴らをぶっ潰すこと。
元の体に戻って蘭にちゃんと話すこと。


そして、今出来ること…。
蘭のことを見守ること。
今の俺にはそれしか出来ない。

でも、いつかは「工藤新一」として蘭を見守りたい。
これは願いになるのかもしれない。

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