桐青★島準

□純愛ラプソディ
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今日は珍しく部活が休み。

だから慎吾さんの部屋にきている。

何だか今日の慎吾さんは機嫌がよくて、雑誌をめくるオレの横で、ベッドにもたれて鼻歌なんて歌ってる。

慎吾さんは歌うの上手いし、好きなジャンルも幅広いから、鼻歌歌っててもなんの曲か分からないことが多いんだけど、今日の曲は聞き覚えがあった。

心にじんわりと染み入るような女性ボーカリストの、何年も前の曲。

だけどタイトルが思い出せない。


時折目を伏せて、口元に優しげに笑みを浮かべて歌う慎吾さん。
他のみんなの前では見せない、きっとオレだけが知ってる顔。
気付いたのは、ごく最近のことだけど。


…あ、ここの入り覚えてる。


思わず慎吾さんの声に声を重ねてハモってしまう。
ちょっとびっくりしたように慎吾さんはオレのほうを見て、だけどもっと優しい顔になって、そのまま歌い続ける。雑誌を持つオレの手を、慎吾さんが柔らかく握った。




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