桐青★島準
□はじまりのころ
1ページ/3ページ
初めて出会ったのはオレが1年の時、準太はまだ入学式前だった。
桐青は中高一貫教育だから、もう高校にあがることが決まった奴らは、高校の入学式の前から部の練習に参加するようになる。
オレは高校からの外部入学だから、入学後既に練習に参加している同学年の奴らに内心焦りを感じたりもしたもんだ。
「和さん!」
同学年であり親友といえるほど親しくなった和己の名前を嬉しそうに呼んで走り寄り、一緒にいたオレに気付いて脱帽して挨拶をした。
和己にこいつ後輩の高瀬準太、そう紹介された準太は、緊張しているのかこわごわオレを見てた。オレとあいつの初対面は、先輩後輩として至極ありふれたものだった。
和己に紹介されたものの他の後輩と特別変わるわけじゃなく、まあ顔は綺麗だし女にはモテるだろうなと思うくらいで。
とりあえず身体造りの一年。
中学と比べりゃ練習量は天と地ほどの差がある。
練習についていけず入部早々辞めていくのもいる。
それはオレらの代もだったし、辞めていく新入生を引き留めることもしなかった。
引き留めたところで、自分の意志でそこに立ってなきゃ、到底レギュラーになることはできないから。
準太は一人黙々とメニューをこなしていた。走り込みも、投げ込みも、上級生にまけじと意欲的にやっていた。高瀬がんばってんな、って声をかける上級生に笑顔で応えてた。
けど。
「…う゛……ぇっ……っ」
「…準太?」
「はぁっ…は…島崎、さん…。」
「大丈夫か?戻したのか?」
「…大丈夫、すから…っ皆には…っ」
『練習きつくて吐いてたなんて知られたくない』
その日から、準太を意識するようになった。