西浦☆
□幼なじみをこえる日。@
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なんでこんなことになっちゃってんの、オレら。
きっかけは田島の一言。
「なーなーなー、泉はキスしたことあんの?」
早いやつなら高1でキスくらいすましてるだろーけど、野球ばっかやってきたからまだしたことなくて。
「ねーよ、んなもん」
「えー、マジで?じゃー、チュー」
「はぁ?…ムグっ」
いきなり唇に吸い付かれた。
「キャーーーーーーーーー!!」
教室中に歓声とどよめきが響き渡る。
「泉の唇やわらけー!三橋と同じくらいやわらけーよ!」
「何すんだよ!たじまぁ!」
三橋にもしたのかよ!
阿部が知ったらおおごとだぞそれ!
「何の騒ぎ?」
騒々しい教室に、職員室に呼ばれてた浜田が帰ってきた。聞かれた女子が話さなくていいのに楽しげに事情を話す。
「田島くんが泉くんにキスしちゃってー」
浜田のことだからまた調子に乗ってからかってくるに決まってる。
「…田島が泉に…?」
とんでくるだろうからかいの言葉に、浜田を睨みつけたけど、意外にも浜田は何も言わず席に着いた。
騒ぎは予鈴に掻き消され、入ってきた先生の姿にバタバタと皆席に着く。
ったく、いい笑い者だぜ。
そのときは、そう思っただけだったのに。