西浦☆

□幼なじみをこえる日。@
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「腹減ったー!」

昼休みを告げるチャイムと共に、教室に田島の声が響き渡る。
飯食うのに机を寄せてると、ふいに浜田から声をかけられた。



「悪り、泉ちょっとつきあって」


連れてこられたのは、今は使われてないあき教室。



「何だよこんなとこ連れて来て」



「泉、田島とキスしたって…マジ?」



「あーもー、その話やめよーぜ。いい笑い者だ」



「マジ…なんだ」



「あんなのキスとかそんな内に入んねー……つ!?」



言い終わらないうちに、唇に生暖かいものが触れる。



それが浜田の唇だとわかるまで、数秒かかった。



「…っ何すんだよ!」



「ちょ、待てよ泉!」



「「うわっ」」

ドン、と浜田を突き飛ばして踵を返したその腕を引っ張られて、バランスを崩し浜田と共に倒れ込む。その拍子に強く背中を打ち、鈍い痛みが体に走った。



「痛って……んンっ!」



強引に覆いかぶさられ、再度浜田に唇を塞がれる。唇をこじ開けて浜田の舌が入ってくる。



「…っ………ふ……っ」


田島にされたみたいなのとは違う、強引なキス。



ガッチリ押さえられた両手首は、どんなに力を入れてもびくともしない。



「…っは……痛っ…!」



唇を介抱されるけど、首筋を強く吸われる。



膝で蹴ってみても、どんなに腕に力を入れても、浜田はびくともしない。



こんな浜田は、知らない。

オレの知ってる
幼なじみの浜田は、



バカばっかいって、
お調子者で、
お人よしで、
いつもヘラヘラ笑ってて。



こんな浜田は知らない。

こんな浜田は嫌だ。

こんな浜田は浜田じゃない。



「浜田、浜田…浜田っ……はまだぁ…っ」



やみくもに精一杯の声で浜田の名前を呼ぶ。



「…っ…泉…」



情けない顔の浜田がオレを見下ろしてる。


押さえられてる腕が僅かに緩む。

思いっきり浜田を突き飛ばして、教室から飛び出した。

足がガクガクして、何度も転びそうになる。
心臓がバクバクいって破裂しそうだ。
体が…震える。




気が付けば顔は涙でぐちゃぐちゃだった。




続く。
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