短編

□素直になれない
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「あ、姫はっけ〜ん♪」
「はあ?ベル?」





今日は日曜日で、学校は休みだった。十代目との約束もなく、正直俺は暇で、一人で商店街をぶらぶらしていた。
特に買うものもなく、そろそろ帰るか。と思っていたところに、奴が来た。
そして冒頭に戻る。

目の前には、真っ黒なマントを羽織り、俺とは対照的な金髪を持った、自称王子。もとい、ヴァリアーの幹部で、嵐の守護者であるベルフェゴールが、綺麗な歯を覗かせながら、ニコニコと笑って立っていた。


誰が姫だとか、何でこっちにいんだとか、いろいろ聞きたいことや、言いたいことはあった。だが、ここは人目が多すぎる。それに、ベルが目立つ格好をしているので、余計注目をあびちまう。
だから、俺は奴の手を引いて、自分の家まで歩いた。

後ろで「今日の姫積極的ぃ」と聞こえたが、気のせいだろう。


家まで歩く間も、ずっと人目が気になってた。仕方ないか。ただでさえベルが目立つのに、そこに俺が加わり、金髪と銀髪という珍しい光景になってしまっていた。人がこれを見ないわけがない。








家に着いて、鍵を開けた。隣で「王子に合鍵つくってよ」と聞こえたが、無視しよう。

中に入り、俺はやっと、聞きたかったことを聞くことが出来た。
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