短編2
□黄色い鳥が運ぶもの
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‘み〜ど〜り たな〜びく〜 な〜み〜も〜り〜の〜’
「ん?」
くだらない数学の授業
屋上でサボっていると、聞こえてきたのは調子っぱずれな歌
見上げてみると、飛んでいたのは一羽の黄色い鳥
雲雀のもとで見たその鳥は、歌いながら俺のもとへ降りてきた
‘だ〜いな〜く しょうなく〜 な〜み〜が〜 いい〜’
その様をボーッと眺めていたら、急に笑いが込み上げてきた
「ぷっ」
我慢できずに吹き出すと、‘?’と首を傾げるから、笑いは深くなってしまった
一通り笑ってから、ヒバードと呼ばれる黄色い鳥に向き直った
まだ間抜けな顔をしている鳥に、再び笑いだしそうになるのを必死に堪え、話しかけた
「お前さ、それしか喋れねえの?」
俺が尋ねると、鳥は暫く考える素振りを見せてから、喋りだした
‘ヒバリ、ヒバリ!’
「お、すげえな」
喋ったのは己の主人の名
周りの奴の会話を聞いて覚えたのか
そう考えて、止まった
あれ?周りの奴って、誰だ?
風紀委員の奴等…は、[雲雀さん]か[委員長]、だよな?
じゃあ、雲雀の近くで[雲雀]と呼ぶのは……?
‘ゴクデラ、ゴクデラ’
「!」
そうだ……
俺じゃないか