小話《パロ・転生部屋》

□ハロー!クリス!
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「曽良〜」


呼ばれて振り返ると、金髪の少年が手を振りながらこちらに走ってくるのが見えた。

学校の帰り道、結構な人が歩いている坂道で、よくまぁあのような大声が出せるな。
と曽良は眉をしかめたが、本人に悪気は無い事を知っているのでため息をつくだけにしておいた。


「曽良まってったら、おい待てよー!」

「クリス、騒がしい・・・」

「あーやっと追いついた・・・、もー呼んでんだから止まってよ」


そう息を切らしながら曽良の横に並んだ。
そして碧い瞳をパチパチとしばたかせると、にゅうと顔を覗きこんでくる。


「どした、元気ないじゃん?」

「別に」

「ふーん、そう?」


そう言いながらまだ覗きこんでくるので、邪魔だとデコをはたく。

いったー!と大袈裟に痛がるクリスを見て、またため息をついた。


この金髪碧眼の少年は曽良と高校一年の頃からの付き合いなのだが、親友と言うのには浅く、友人と言うには深い、なんともよくわからない関係だった。
一緒に居ても嫌ではない曽良にとっては貴重な人間なので、別に今のままの関係で構わないと、三年になった今も曽良は特に何も言わないでいるのだけれど。


「曽良は色々溜め込んじゃうんだから、・・・何かあったら言うんだぞ」

「・・・わかった」

「わかったんなら、よろしいよろしい」

「・・・・・」


どうも調子が狂うと曽良は首をかしげて、いつものことだから別にいいかとよくわからない納得の仕方をしておいた。






「あ、あれ曽良んとこの子じゃないか?」

「え」


しばらく他愛も無い会話をしながら歩いていると、クリスが少し先の空き地を指差した。

指の先には青いジャージをきた黒いランドセルの男の子がしゃがみこんでいるのが見える。
あれは・・・・・


「太子・・・」

「あっ!やっぱりか!ラッキー!オレ一回ちゃんと会ってみたかったんだよ、おーい!太子くーん!」


クリスが大きな声で呼びながら走って行く。
こいつは大声を出さないと生きていけない人間なんだろうか、そうだろうな。と学校でもいつも大騒ぎしている姿を思い出しながら、曽良も小走りで後に続いた。



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