小話《パロ・転生部屋》

□変質者に御用心
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《最近、公園で遊んでいる子供に男がお菓子を持って近寄り、「家にゲームしにこない?」等と誘い連れ去ろうとする事件が続けて3件ありました。以下男の特長です、見掛けたら110番をお願いします。
*痩せ型
*黒い服に黒い帽子
*眼鏡をかけていて髪は肩ほど》

ここまで読んで、僕は顔をあげた。
ふぅ、と息をついて前で朝食のサンドウィッチを頬張る妹子をみる。


「なぁ妹子」

「なぁに鬼男」

「今日の外の日お休みにしようか」

「えー!?」


妹子がガタンと椅子の上に立ち上がる、なんでと騒ぐ妹子に座りな行儀悪いぞと言ってから。
「(僕も楽しみだったけどさ)」なんて心の中で呟いた。


外の日というのは、月に一度の外食をする日の事だ。
近くの公園で仕事帰りの僕と学校帰りの妹子で待ち合わせをしてそこから店に向かっていたのだけれど、どうにも物騒だ。


「最近公園に変質者が現われるようだから、また違う休みの日にしよう」

「変質者ってお菓子男のこと?大丈夫だよ僕そんなのについてかないし!」


どうやらこの変質者は妹子の学校でもお菓子男としてかなり噂になっているらしい。

なるほど回覧板になって回ってくるわけだ、と今し方読んだ回覧板を閉じた。


「僕ももう小学5年生だよ!お兄ちゃんだし大丈夫だって!」

「そうかぁ?」

「ねー!行こうよご飯ー!」

「うーん」


まぁ、妹子は他の同年代の子に比べたらしっかりしてるし、大丈夫かなぁ。
待ち合わせ時間も五時すぎだ、今は夏で日も高い。


「じゃあ本当に気をつけるんだぞ」

「大丈夫だよ、心配性だなぁ鬼男は」

「よし、じゃあ今日も五時過ぎに公園な」

「やったー!」


妹子がストンと椅子に座り直して、えへへと嬉しそうに笑う。

大丈夫だよな、うん。


さて、今日も可愛い息子のために仕事を頑張ってきますか。


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