小話《パロ・転生部屋》
□太子先生と閻魔先生
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「太子せんせっ、体がっ、熱いっ」
「変な声ださないでもらえませんか閻魔先生」
「んもぅ!本当に熱くて大変だってのに何さー!太子先生の意地悪」
「あのな閻魔、夏だから暑いのは当たり前だし、だからといって保健室でトランクス一丁はやめんしゃい」
「太子先生もパンツになりゃいいのに」
「私はパンツはかない主義だからな!」
何をしていたのかは知らないけれど、向かっていた机からわざわざ立ち上がってふん反りかえった太子先生を見て思わず吹きだした。
「笑うなよー、寂しくなるじゃん」
「オレね、太子先生のそういう所大好きだよ」
「わっ」
太子先生に向かって大ジャンプする。がっしりと抱き留めてくれるのは前と変わらない。ただ、オレもヒョロヒョロに身長が伸びてしまっているから、上手く受け止められなかったようで
「あだっ!」
ドッスンとそのまま尻餅をついてしまった。
いたたーなんて涙を浮かべながら睨まれて、ごめんなさいと小さく呟く。
「えーっと、許して?」
「別に怒ってな・・・腕を首にまわすのやめんしゃい!」
太子先生の首に腕をまわして、体を密着させる。体の触れ合っている面積が多ければ、絆されて太子先生も許してくれるに違いない。多分。
「や、ほんとにやめっ・・・!このタイミングで誰か来たらどうするつもりでおま!」
「え?」
なんでこんなに太子先生は焦ってるんだ?
別に変なことしてないと思うんだけど
「太子ーお昼食べま・・・」
「わっ!」
がらり
と保健室の扉が開いたと思ったら、元気よく妹ちゃんが入ってきた。あららお昼一緒にだなんて可愛いねー。
と呑気に思っていたら太子がよりいっそう慌てだした。
「ちっ、ちがっ、違うんだ妹子!ちょっとした遊びで・・・」
「遊び、へぇ、どんなですか?下着姿の先生にのしかかられて、太子も白衣が脱げかけてる状態で、遊びですか。へぇー」
「違うんだよ妹子ぉ!」
ここまできて、やっとオレは太子先生が慌てていた理由に気がついた。あぁ、しまったなるほど。オレと太子先生がそういう関係に見えるのか、この格好だと。
と、妹ちゃんの後ろからドサリと何かが落ちる音がした。見ると誰かが弁当を落としたようだ。
誰だよ食べ物粗末にするのは、と視線を上に上げると
「あ・・・お、にお君」
「だ、大王・・・」
鬼男君が硬直して立っていた。何これ、あの、かなり気まずいのですが。
「すみませんでした・・・」
「ええええぇ!?何が?!わっ!ちょっとまって!」
顔を真っ赤にさせてどこかへと走りさってしまった鬼男君を追いかける。太子先生の待ってくれぇええ!見捨てんといてー!だなんて悲鳴が聞こえたけれど今はそれどころじゃない。
「ごめんね太子先生!」
「ちょっ閻魔!マジで行かんといて・・・わぁーっ!」
「きちんと説明してください太子!」
「ぎ、ギブ!ギブギブ!関節技はヤバ・・・ぎぁあーっ!」
この後、オレが鬼男君にボコられて教頭にお説教くらったり、太子が人間とは思えぬ形で発見されたりして学校が大騒ぎになったのだけれどそれはまた別の話。
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