小話

□もどってきたあの人7題
1ページ/10ページ

1.いるはずのないひと


まさか、と思った。

だって、だって太子は死んだはずだ。

僕らを置いて、勝手に死にやがったはずだ。


呆然としていると、太子は優しく笑って、ゆっくりと口を開いた。


「ただいまだイモ!」

「帰ってきて第一声がそれ!?なんですかその語尾!」

「いや、前考えた妹子の語尾だイモ!」

「言いませんよイモだなんて!」


ああ、ちくしょう太子だ。こんな馬鹿でアホなのは太子しかいやしない。
なんだよ。心配したんですからね、本当に心配したんだ。


「・・・太子」


「なんだ?」


「おかえりなさい」


そう言うと、太子は少し驚いた顔をして、それからただいま!といつものように笑いながら言った。



次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ