Novel

□深海の少女
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そこは小高い丘の上。海から吹く風に、咲き乱れた色とりどりの夏の花々が笑うように揺れている。


真っ白な屋敷に昔からそこで働く使用人達と、仕事の為にほとんど帰らない両親と共に暮らす、独りの美しい少女。名は海王みちる。


深い海の色をした波打つ髪と、気高い眼差し、日本人離れした長い四肢。15歳の少女だとは思えないくらい大人びた雰囲気を纏い奏でる彼女のバイオリンは、今では言わずと知れ渡ったその音色。趣味程度に音楽をかじったはるかも、自分と同じ歳で同じ様に有名なみちるの存在は知っていた。


ただ、そのみちると関係を持つことになろうとは夢にも思っていなかったけれど。
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